(2025年6月27日現在)

1. コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由

コーポレートガバナンス・コード(プライム市場向けの内容を含みます。)の各原則につきまして、全てを実施しています。

2. コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示

開示が求められている、以下の14原則についての実施状況および開示内容の概要は以下のとおりです。

原則 1-4 政策保有株式

保有方針

2023 年12 月に保険料等の調整行為に係る行政処分(業務改善命令)を受け、政策株式の保有が保険料等の調整行為を生じさせた要因の一つであるとの認識に至り、損害保険業界の適正な競争環境確保のため、政策株式は保有しない方針を策定し、現在保有する上場の政策株式は、2030 年3月末までに保有をゼロとすることといたしました。

保有ゼロに向けた取組みの進捗状況
(三井住友海上)
2024 年3 月末時点の上場の保有銘柄619 銘柄のうち、2025 年3 月末までに保有株式の全株を売却した銘柄数は214(2024 年3 月末比34.5%)、同削減簿価は492 億円(同10.9%)です。残る406 銘柄については投資先と交渉中、あるいは市場動向を確認しながら売却を進めているものです。
(あいおいニッセイ同和損保)
2024 年3 月末時点の上場の保有銘柄514 銘柄のうち、2025 年3 月末までに保有株式の全株を売却した銘柄数は143(2024 年3 月末比27.8%)、同削減簿価は229 億円(同7.4%)です。残る371 銘柄については投資先と交渉中、あるいは市場動向を確認しながら売却を進めているものです。
 

政策株式にかかる議決権行使について適切な対応を確保するための考え方

① 議決権行使の基本的な考え方について
議決権の行使は投資先企業の経営に影響を与え、企業価値の向上につながる重要な手段と考えております。このため、定型的・短期的な基準で画一的に賛否を判断するのではなく、投資先企業との対話等を踏まえ、中長期的な企業価値向上、株主還元向上につながるかどうか等の視点に立って判断を行います。
② 議決権行使のプロセス
議決権行使にあたっては、投資先企業において当該企業の発展と株主の利益を重視した経営が行われているか、反社会的行為を行っていないか等に着目し、以下のような項目について議案ごとに確認を行います。さらに必要に応じて個別に精査した上で、当該企業との対話等の結果を勘案し、議案への賛否を判断します。
<主な議案の種類および精査事項>

議案種類 確認事項
剰余金の処分 ・株主還元の状況
取締役の選任 ・企業価値の向上状況
・不祥事等の発生状況
・女性取締役の選任状況
・サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を
 巡る課題への対応状況
・買収防衛策の導入・更新の決議機関
・独立社外取締役の選任状況
・取締役会等の出席状況
・独立社外取締役の在任期間
・社外取締役の兼任数
監査役の選任 ・不祥事等の発生状況
・独立社外監査役の選任状況
・独立社外監査役の在任期間
・取締役会、監査役会の出席状況
・社外監査役の兼任数
会計監査人の選任 ・不正会計を生じさせた会計監査人でないこと
役員報酬・賞与、役員に対する弔慰金 ・企業価値の向上状況
・不祥事等の発生状況
・取締役会などの出席状況
役員に対する退職慰労金 ・原則不賛同
新株予約権の発行及び株式報酬 ・業績連動採用の有無、付与対象者
・既存株主の持分割合減少有無
定款変更 ・個別に精査
買収防衛策 ・個別に精査
株主提案 ・個別に精査

 

③ 議決権行使に係る賛否判断の基準
三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保においては、保有株式の議決権行使に際しての具体的な判断基準・ガイドラインを設けています。基準・ガイドラインに該当した場合等、必要に応じて投資先企業と対話を実施し、対話の内容等を踏まえた上で議案の賛否を判断しております。


*詳細は両社のウェブサイト(スチュワードシップ活動の概況報告)をご覧ください。

原則 1-7 関連当事者間の取引

a.当社は、関連当事者間の取引に関しては、会社及び株主共同の利益を害することのないよう、複数の社外取締役を含む取締役会において審議した上での承認事項としています。また、(a)及び(b)の事項について執行役員が行う場合は、取締役会への報告事項としています。
  (a)取締役による他会社取締役、執行役及び監査役の兼任
  (b)取締役による競業取引並びに役員と会社間の取引及び利益相反取引
  (c)当社の重要な財産の処分及び譲受

b.会社法、財務諸表等規則で定める「関連当事者との取引」に該当する場合は有価証券報告書に記載しています。
  なお、有価証券報告書の作成は取締役会への報告事項としています。

補充原則 2-4 ① 企業の中核人材の多様性の確保

コーポレートガバナンス報告書のⅢ 3.ステークホルダーの立場の尊重に係る取組み状況をご覧ください。

原則 2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮

  • グループの主要事業会社である三井住友海上及びあいおいニッセイ同和損保において、確定給付企業年金を実施するにあたり、三井住友海上企業年金基金及びあいおいニッセイ同和企業年金基金を設立して年金資産を会社から分離し運営しています。
  • 各企業年金基金の資産運用に関する意思決定は、資産運用委員会の審議を踏まえ、代議員会で決定しています。資産運用委員会及び代議員会には、各社の資産運用、経理、人事部門の適切な資質を持った人財を配置するとともに、受益者代表として労働組合幹部等を配置しています。
  • 各企業年金基金においては、資産運用経験の豊富な人財が資産運用業務に従事しています。また、スチュワードシップ・コードを受け入れています。
  • 各企業年金基金において、株式の組み入れおよび投資先への議決権行使については運用委託先の判断基準に従っており、利益相反に該当する事項はありません。

原則 3-1 情報開示の充実

(ⅰ) 経営理念・経営戦略等

以下のリンク先または定時株主総会招集通知(経営理念等は表紙裏面)をご覧ください。

(ⅱ) コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方・基本方針

(1)当社は、グループの事業を統括する持株会社として、「経営理念(ミッション)」の下、経営資源の効率的な活用と適切なリスク管理を通じ、グループの長期的な安定と持続的成長を実現するため、全てのステークホルダーの立場を踏まえ、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための経営体制を構築し、企業価値向上に努めます。

(2)グループの全役職員が業務のあらゆる局面で重視すべき「MS&ADインシュアランス グループの経営理念(ミッション)・経営ビジョン・行動指針(バリュー)」を策定し、当社及びグループ会社の全役職員へ浸透させるよう努めるとともに、グループ中期経営計画において、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスク管理等を経営の重要課題として位置づけ、計画の推進に積極的に取り組みます。

コーポレートガバンスに関する基本方針は以下のリンク先をご覧ください。

(ⅲ) 報酬決定方針・手続き

以下のリンク先をご覧ください。

(ⅳ) 経営陣幹部の選解任と取締役候補指名の方針・手続き

以下のリンク先または定時株主総会招集通知(35ページ)をご覧ください。

(ⅴ) 個々の選解任・指名についての説明

定時株主総会招集通知 13~29ページの監査等委員でない取締役候補及び監査等委員である取締役候補に関する説明をご覧ください。

補充原則 3-1 ③ サステナビリティについての取組み等

a.サステナビリティについての取組み
当社「サステナビリティレポート」をご覧ください。

b.気候変動に係るリスク及び収益機会が事業活動や収益等に与える影響
当社「MS&ADグリーンレジリエンスレポート 2024(TCFD・TNFD レポート)」をご覧ください。

c.自然資本に係るリスク及び収益機会が事業活動や収益等に与える影響
当社グループは自然資本の持続可能性向上に役立つソリューションや商品の提供を通じ、自然資本と事業活動との持続可能な関係を構築し、地球環境との共生に貢献していきます。該当ページこちらをご覧ください。

d.人的資本や知的資産への投資等
(a)人的資本
「MS&AD統合レポート2024」の67~70ページをご覧ください。
また、「第17 期 有価証券報告書」の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。

(b)知的財産
当社グループにおける知的財産への投資に関して、CSV x DXを軸に、デジタル・データを活用して補償・保障前後の新たなサービス開発に取り組んでいます。あわせて、課題別委員会に「デジタライゼーション推進委員会」を設置し、デジタライゼーション推進に関する議論を定期的に行っています。
その他、スタートアップ企業への投資を通して、当該企業と連携し先端技術を新たなサービスの提供や業務の高度化などに役立てています。主な取組内容は以下のとおりです。

・リスク測定(数値化)やお客さまの安心・安全対策に資する個人・企業向け新サービスの提供
※サイバーリスク診断技術を有する「Coalition社」と共同で企業向けのソリューションを共同開発しサービスを提供

・商品開発・保険引受・損害サービス等の業務の高度化・効率化

補充原則 4-1 ① 経営陣に対する委任の範囲

以下のリンク先をご覧ください。

原則 4-9 独立社外取締役となる者の独立性判断基準

以下のリンク先または定時株主総会招集通知(35ページ)をご覧ください。

補充原則 4-10 ① 委員会構成の独立性に関する考え方・権限・役割等

コーポレートガバナンス報告書 II 1.【取締役関係】「任意の委員会の設置状況、委員構成、委員長(議長)の属性」及びその補足説明、並びに「コーポレートガバナンス基本方針」第3章10.指名決定のプロセス及び11.報酬決定のプロセスをご覧ください。

補充原則 4-11 ① 取締役会のメンバーのバランス・多様性・規模に関する考え方と取締役の選任に関する方針・手続き

  • 取締役会は、取締役13名(男性9名、女性4名)のうち7名を社外から選任することで、業務執行から独立した社外人財の視点を取り入れて監視・監督機能を強化し、透明性の高い経営を行っています。当社では取締役会の実効性確保に必要なスキルを選定し、スキルマトリックスを作成し取締役会全体として必要なスキルが備わっていることを確認しています。また、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスを考慮するとともに、性別や人種・国籍などを含めた多様性の確保に努めています。
  • 社外取締役は、会社法及び保険業法に規定された適格性の要件を充足するとともに、企業経営 ・人事 ・人材育成 ・法務など一般的に求められるスキルのほか、保険事業・国際性といった当社グループの事業特性に合わせたスキル、その他 IT・デジタル・サステナビリティなどの知識 ・ 経験を踏まえて選任しています。
  • 社外取締役以外の取締役については、法的な適格性を充足するとともに、保険会社において豊富な業務経験を有し保険会社の経営管理に携わっている等、多様性・専門性の高い経験を有し、リーダーシップの発揮により、経営理念等を体現すること及び保険会社の経営全般を的確かつ公正に監督できる知見を有していること等を踏まえて選任しています。
  • 監査等委員である取締役のうち最低1名は、経理又は財務に関して十分な知識を有する者を選任することとしています。
  • いずれの社外役員についても当社との間に一般株主と利益相反が生じるおそれがある人的関係、資本的関係、または取引関係その他の利害関係はなく、当社は、株式会社東京証券取引所及び株式会社名古屋証券取引所に対し、独立役員として届出を行っています。

  (取締役の選任に関する方針・手続きについては上記原則 3-1(ⅳ)をご覧ください。)

取締役会のスキル・マトリックスについて

*スキルの考え方
・当社では、取締役会の実効性確保に必要なスキル(知識、経験、能力)を、経営戦略等の重要な事項の判断及び職務執行の監督の観点から、以下のとおり考えております。

①一般的に求められるベースとなるスキル
「企業経営」、「人事・人財育成」、「法務・コンプライアンス・内部監査」、「リスク管理」、「財務・会計」
②当社グループのコア事業が保険事業であり、グローバルな事業展開をしていることを踏まえたスキル
「保険事業」、「国際性」
③現在の当社の事業環境を踏まえた、事業変革及び市場が重視している課題への対応に必要なスキル
「IT・デジタル」、「サステナビリティ」

・監査等委員である取締役については、「財務・会計」を重要なスキルと考えております。
・「取締役・執行役員のスキルマトリックス」のとおり、取締役会全体として必要なスキルが備わっているものと考えております。

 

補充原則 4-11 ② 社外役員の兼任状況

定時株主総会招集通知 19~23ページ、27、28、64、65ページの各取締役候補等に関する説明をご覧ください。

補充原則 4-11 ③ 取締役会全体の実効性についての分析・評価結果の概要

1. 分析・評価のプロセス

「コーポレートガバナンス基本方針」第3章5.に記載のとおり、取締役会全体の実効性についての分析・評価を毎年実施することとしています。2024年度の取締役会全体の実効性についての分析・評価の概要は、以下のとおりです。

(1) 全取締役に対する自己及び取締役会評価アンケートの実施

  • 16項目の質問票(取締役会の役割・責務、運営等にて設問を構成)及び取締役会議案の重要度と充実度に関するギャップ分析を事前に配付し、事務局によるインタビュー形式でアンケートを実施しました。なお、保険事業会社で発生した不適切な行為に関連する対応状況についても確認しています。
  • 2023年度の取締役会評価でとりまとめた改善策(2024年度の機能向上策)についても、取組みが実施されているかを確認しました。

(2)社外取締役会議における意見交換

  • 社外取締役会議(社外取締役全員で構成)において、アンケート結果に基づき、分析・評価のための意見交換を実施しました。

(3) ガバナンス委員会における分析・評価のとりまとめ

  • ガバナンス委員会(社外取締役全員、取締役会長、取締役副会長、取締役社長で構成) では、社外取締役会議での意見交換結果も踏まえ分析・評価を行うとともに、コンサルティング会社の専門的な知見も活用し、2025年度の機能向上策を取りまとめました。

(4)  2025年度の機能向上策は、速やかに取組みを開始・強化し、実効性向上に向けたPDCAサイクルにつなげていくこととしています。

2. 分析・評価結果の概要

2024年度の取締役会における論議内容および機能発揮、運営面、ならびに社外役員に対する研修・情報提供等の状況を踏まえ、以下の結果となりました。

(1)2024年度の取組みと取締役会評価結果

  • 中期経営計画で目指す姿の実現はステークホルダーへのコミットメントであると取締役全員が強く意識し、その進捗状況の管理や対応策について、十分な情報共有と建設的な論議ができている。
  • 役員間のフランクな意見交換ができる機会が充実しており、取締役会全体の論議の質の向上に寄与している。取締役として必要となる知識習得・研鑽のための勉強会の設定は適切であった。今後は役員勉強会の参加者範囲拡大の検討も視野に、各保険事業会社の戦略等について意見交換や論議の場を増やすことが望ましい。
  • 事業投資案件は、早い段階で十分な論議・検討ができている。今後も論議を深めるため、事業投資対象に関する留意点や情報量の拡充が必要である。
  • グループ社員への経営理念浸透が不十分であり、課題が残っている。
  • 社外取締役比率が過半数に達していないことが課題である。

(2)2025年度の機能向上策

  • グループガバナンス強化を図ることを目的に、役員勉強会の参加者範囲拡大や保険事業会社ごとの戦略等に関する意見交換や論議、及び保険事業会社役員間の接点機会を拡充していく。
  • 大型事業投資案件に関して、国内外案件を問わず市場環境や事業投資実行における留意点等も含め、情報共有量を拡充し論議を重ねる機会を設ける。(役員勉強会等の場も活用)
  • グループ社員に対する経営理念等の浸透・実践状況が確認できるよう、社員意識調査の分析、保険事業会社第一線の見学会の実施、海外経営陣との意見交換を継続して実施する。
  • 機関設計を「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」に移行する。また、社外取締役比率を過半数とするべく体制を構築する。

補充原則 4-14 ② 取締役に対するトレーニングの方針

以下のリンク先をご覧ください。

原則 5-1 株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針

以下のリンク先をご覧ください。