(2022年7月1日現在)

1. コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由

コーポレートガバナンス・コード(プライム市場向けの内容を含む)の各原則につきまして、全てを実施しています。

2. コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示

開示が求められている、以下の14原則についての実施状況および開示内容の概要は以下のとおりです。

原則 1-4 政策保有株式

<グループとしての政策株式の保有縮減に関する方針について>

  • 政策株式とは、総合的な取引関係の維持・強化を目的として、長期保有を前提に投資する株式をいいます。
  • 株価変動の影響を受けにくい強固な財務基盤の構築や資本効率性の向上の観点から、政策株式の保有総額を縮減する方針とします(注)。
  • 個別の銘柄ごとに成長性、収益性等から保有の適否を検証し、取引関係強化等の中長期的な視点も踏まえた上で保有の妥当性が認められない場合には、発行体企業の理解を得ながら、売却を進めます。
  • 保有の妥当性が認められる場合にも、市場環境や当社の経営・財務戦略等を考慮し、売却することがあります。
     

(注) グループとして2017年度から2021年度の5年間で、当初計画の5,000億円を上回る、6208億円の政策株式を削減しました。引き続き政策株式の削減を行うべく、2025年度までの4年間に、4000億円を売却する計画です。なお、2022年3月末の政策株式の保有時価残高は、28,349億円となっています。
 

<政策株式の保有の適否の検証と縮減取組み>

  •  三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保が保有している政策株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益、リスク等が資本コストに見合っているか、個別の銘柄ごとに収益性や保険収支を踏まえた保有の適否の検証を実施し、当社の取締役会において、検証結果を確認しています。
  • 個別銘柄の検証結果を踏まえて、合理性目標を充足せず特に改善を要する銘柄については、建設的な対話を実施し、改善が見込まれる場合には保有を継続し、改善の見込みがない場合には売却交渉を実施します。

 

<政策株式にかかる議決権行使について適切な対応を確保するための考え方>

① 議決権行使の基本的な考え方について
議決権の行使は投資先企業の経営に影響を与え、企業価値の向上につながる重要な手段と考えております。このため、定型的・短期的な基準で画一的に賛否を判断するのではなく、投資先企業との対話等を踏まえ、中長期的な企業価値向上、株主還元向上につながるかどうか等の視点に立って判断を行います。
② 議決権行使のプロセス
議決権行使にあたっては、投資先企業において当該企業の発展と株主の利益を重視した経営が行われているか、反社会的行為を行っていないか等に着目し、以下のような項目について議案ごとに確認を行います。さらに必要に応じて個別に精査した上で、当該企業との対話等の結果を勘案し、議案への賛否を判断します。
<主な議案の種類および精査事項>

議案種類 確認事項
剰余金の処分 株主還元の状況
取締役の選任 企業価値の向上状況、不祥事等の発生状況、独立社外取締役の選任状況、取締役会等の出席状況
監査役・会計監査人の選任 不祥事等の発生状況、取締役会・監査役会の出席状況
役員報酬・賞与、役員に対する退職慰労金・弔慰金 企業価値の向上状況、取締役会等の出席状況、不祥事等の発生状況
新株予約権の発行及び株式報酬 業績連動採用の有無・付与対象者、既存株主の持分割合減少有無
定款変更 個別に精査
買収防衛策 個別に精査
株主提案 個別に精査

 

③ 議決権行使に係る賛否判断の基準
三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保においては、保有株式の議決権行使に際しての具体的な判断基準・ガイドラインを設けています。基準・ガイドラインに該当した場合等、必要に応じて投資先企業と対話を実施し、対話の内容等を踏まえた上で議案の賛否を判断しております。


*詳細は両社のウェブサイト(スチュワードシップ活動の概況報告)をご覧ください。

原則 1-7 関連当事者間取引に係る手続きの枠組み

関連当事者間の取引に関して、会社および株主共同の利益を害することのないよう、取締役による競業取引ならびに役員との会社間の取引および利益相反取引等について複数の社外取締役を含む取締役会において審議した上での承認事項、執行役員による同取引について取締役会報告事項としています。

補充原則 2-4 ① 企業の中核人材の多様性の確保

コーポレートガバナンス報告書のⅢ 3.ステークホルダーの立場の尊重に係る取組み状況をご覧ください。

原則 2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮

  • グループの主要事業会社である三井住友海上およびあいおいニッセイ同和損保において、確定給付企業年金を実施するにあたり、三井住友海上企業年金基金およびあいおいニッセイ同和企業年金基金を設立して年金資産を会社から分離し運営しています。
  • 各企業年金基金の資産運用に関する意思決定は、資産運用委員会の審議を踏まえ、代議員会で決定しています。資産運用委員会および代議員会には、各社の資産運用、経理、人事部門の適切な資質を持った人財を配置するとともに、受益者代表として労働組合幹部等を配置しています。
  • 各企業年金基金においては、資産運用経験豊富な人財が資産運用業務に従事しています。また、スチュワードシップ・コードを受け入れています。
  • 各企業年金基金において、株式の組み入れおよび投資先への議決権行使については運用委託先の判断基準に従っており、利益相反に該当する事項はありません。

 

原則 3-1 情報開示の充実

(ⅰ) 経営理念・経営戦略等

以下のリンク先または定時株主総会招集通知(経営理念等は表紙裏面)をご覧ください。

(ⅱ) コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方・基本方針

(1)当社は、グループの事業を統括する持株会社として、「経営理念(ミッション)」の下、経営資源の効率的な活用と適切なリスク管理を通じ、グループの長期的な安定と持続的成長を実現するため、全てのステークホルダーの立場を踏まえ、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための経営体制を構築し、企業価値向上に努めます。

(2)グループの全役職員が業務のあらゆる局面で重視すべき「MS&ADインシュアランス グループの経営理念(ミッション)・経営ビジョン・行動指針(バリュー)」を策定し、当社及びグループ会社の全役職員へ浸透させるよう努めるとともに、グループ中期経営計画において、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスク管理等を経営の重要課題として位置づけ、計画の推進に積極的に取り組みます。

コーポレートガバンスに関する基本方針は以下のリンク先をご覧ください。

(ⅲ) 報酬決定方針・手続き

以下のリンク先をご覧ください。

(ⅳ) 経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補指名の方針・手続き

以下のリンク先または定時株主総会招集通知(21ページ)をご覧ください。

(ⅴ) 個々の選解任・指名についての説明

定時株主総会招集通知 8~18ページの各取締役候補に関する説明をご覧ください。

補充原則 3-1 ③ サステナビリティについての取組み等

a.サステナビリティについての取組み
当社「サステナビリティレポート」をご覧ください。

b.気候変動に係るリスク及び収益機会が事業活動や収益等に与える影響
当社「TCFDレポート」をご覧ください。

c.人的資本や知的資産への投資等
(a)人的資本
「MS&AD統合レポート2022」の85~88ページをご覧ください。

(b)知的財産
当社グループにおける知的財産への投資に関して、CSV x DXを軸に、デジタル・データを活用して補償・保障前後の新たなサービス開発に取り組んでいます。あわせて、課題別委員会に「デジタライゼーション推進委員会」を設置し、デジタライゼーション推進に関する議論を定期的に行っています。
その他、スタートアップ企業への投資を通して、当該企業と連携し先端技術を新たなサービスの提供や業務の高度化などに役立てています。主な取組内容は以下のとおりです。

・リスク測定(数値化)やお客さまの安心・安全対策に資する個人・企業向け新サービスの提供
※気候変動リスク分析ベンチャーJupiter IntelligenceとのTCFD向け気候変動影響定量評価サービスを提供 ~気候変動による自然災害リスクの影響を全世界対象に評価~

・商品開発・保険引受・損害サービス等の業務の高度化・効率化

補充原則 4-1 ① 経営陣に対する委任の範囲

以下のリンク先をご覧ください。

原則 4-9 独立社外取締役となる者の独立性判断基準

以下のリンク先または定時株主総会招集通知(21ページ)をご覧ください。

補充原則 4-10 ① 委員会構成の独立性に関する考え方・権限・役割等

コーポレートガバナンス報告書 II 1.【取締役関係】「任意の委員会の設置状況、委員構成、委員長(議長)の属性」及びその補足説明、並びに「コーポレートガバナンス基本方針」第3章10.指名決定のプロセス及び11.報酬決定のプロセスをご覧ください。

補充原則 4-11 ① 取締役会のメンバーのバランス・多様性・規模に関する考え方と取締役の選任に関する方針・手続き

  • 取締役会は、取締役11名(男性8名、女性3名)のうち5名、監査役4名(男性2名、女性2名)のうち2名を社外から選任することで、経営から独立した社外人財の視点を取り入れて監視・監督機能を強化し、透明性の高い経営を行っています。当社では取締役会の実効性確保に必要なスキルを選定し、スキルマトリックスを作成し取締役会全体として必要なスキルが備わっていることを確認しています。また、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスを考慮するとともに、性別や人種・国籍などを含めた多様性の確保に努めています。
  • 社外取締役は、会社法および保険業法に規定された適格性の要件を充足するとともに、企業経営 ・人事 ・人材育成 ・法務など一般的に求められるスキルのほか、保険事業・国際性といった当社グループの事業特性に合わせたスキル、その他 IT・デジタル・サステナビリティなどの知識 ・ 経験を踏まえて選任しています。
  • 社外取締役以外の取締役については、法的な適格性を充足するとともに、保険会社において豊富な業務経験を有し保険会社の経営管理に携わっている等、多様性・専門性の高い経験を有し、リーダーシップの発揮により、経営理念等を体現することおよび保険会社の経営全般を的確かつ公正に監督できる知見を有していること等を踏まえて選任しています。
  • 監査役のうち最低1名は、経理または財務に関して十分な知識を有する者を選任することとしています。
  • いずれの社外役員についても当社との間に一般株主と利益相反が生じるおそれがある人的関係、資本的関係、または取引関係その他の利害関係はなく、当社は、株式会社東京証券取引所および株式会社名古屋証券取引所に対し、独立役員として届出を行っています。
     

(取締役の選任に関する方針・手続きについては上記原則 3-1(ⅳ)をご覧ください。)

取締役会のスキル・マトリックスについて

*スキルの考え方
・当社では、取締役会の実効性確保に必要なスキル(知識、経験、能力)を、経営戦略等の重要な事項の判断及び職務執行の監督の観点から、以下のとおり考えております。

①一般的に求められるベースとなるスキル
「企業経営」、「人事・人財育成」、「法務・コンプライアンス」、「リスク管理」、「財務・会計」
②当社グループのコア事業が保険事業であり、グローバルな事業展開をしていることを踏まえたスキル
「保険事業」、「国際性」
③現在の当社の事業環境を踏まえた、事業変革及び市場が重視している課題への対応に必要なスキル
「IT・デジタル」、「サステナビリティ」

・監査役については、「財務・会計」を重要なスキルと考えております。
・「取締役・監査役・執行役員のスキルマトリックス」のとおり、取締役会全体として必要なスキルが備わっているものと考えております。

 

補充原則 4-11 ② 社外役員の兼任状況

定時株主総会招集通知 14~18ページ、39~40ページの各取締役候補・監査役候補等に関する説明をご覧ください。

補充原則 4-11 ③ 取締役会全体の実効性についての分析・評価結果の概要

1. 分析・評価のプロセス

「コーポレートガバナンス基本方針」第3章5.に記載のとおり、取締役会全体の実効性についての分析・評価を毎年実施することとしています。2021年度の実施概要は、以下のとおりです。
 

(1) 各取締役に対する自己評価アンケートの実施と集計

  • 12項目の質問票(取締役会の役割・責務、運営等についての設問を構成)を事前に配付し、事務局によるインタビュー形式でアンケート※を実施しました。
    ※取締役会長、取締役副会長、取締役社長を除く
  • 2020年度の取締役会評価でとりまとめた改善策(2021年度に取り組む機能向上策)に沿って取締役会の実効性を向上させるための取組みが実施されているかどうかを中心に回答を行いました。

(2) 社外取締役会議における意見交換

  • 社外取締役会議(社外取締役全員で構成)において、アンケート結果に基づき、分析・評価のための意見交換を実施しました。

(3) ガバナンス委員会における分析・評価および機能向上策のとりまとめ

  • ガバナンス委員会(社外取締役全員、取締役会長、取締役副会長、取締役社長で構成) としての分析・評価を行い、2022年度さらに強化すべき課題を機能向上策として取りまとめました。

(4) 2022年度の機能向上策は、速やかに取組みを開始・強化し、実効性向上に向けたPDCAサイクルにつなげていくこととしています。

2. 分析・評価結果の概要

(1) 取締役会における論議内容と機能発揮について
<評価結果>

  • 中期経営計画の策定に向け、当社を取り巻く環境なども踏まえた成長戦略など、中長期的な企業価値向上に向けた建設的な論議が行われた。論議においては、取締役会以外の機会(社外役員勉強会等)も積極的に活用された。
  • 海外事業投資案件を中心に、投資目的やリスクに関して十分な説明が行われ、深度ある論議・検討が行われている。
  • 社員意識調査の結果が定期的に取締役会に報告されており、ミッション、ビジョン、バリューの社員への浸透状況について適切に監督できている。
  • サステナビリティ取組に関して、TCFDに沿った報告など、気候変動リスクに関する取組内容を積極的に開示、発信した。

<今後強化していくべき点>

  • 海外子会社の経営陣と社外役員が対話し、海外子会社における潜在的なリスクを把握できる機会を拡大する。
  • 社外役員が、事業会社を見学する機会や、事業会社社員と直接対話する機会を設ける。
  • お客さまの具体的な声と、お客さまの声を事業会社の商品やサービスの改善にどのように結びつけているか、その仕組みを含めて報告する機会を拡充する。

(2) 取締役会の運営
<評価結果>

  • 取締役会は自由闊達な論議ができる雰囲気が醸成されており、重要議案を中心に忌憚のない論議が行われている。
  • 取締役会に事業会社の執行役員がオブザーブ参加する取組みは、社内役員(含む事業会社)を知る機会となり、人事委員会で適切な助言を行うために役立った。

(3) その他
<評価結果>

  • 社外役員に対する研修などの機会は十分に提供され、有益な情報を得ることができた。

<今後強化していくべき点>

  • 役員向け勉強会において、専門性の高い領域(気候変動、DX等)に関するテーマを取り上げる。
  • 社外役員が少人数の執行役員と自由に意見交換できる機会を設ける。

補充原則 4-14 ② 取締役・監査役に対するトレーニングの方針

以下のリンク先をご覧ください。

原則 5-1 株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針

以下のリンク先をご覧ください。