(2023年7月3日現在)

1. コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由

コーポレートガバナンス・コード(プライム市場向けの内容を含む)の各原則につきまして、全てを実施しています。

2. コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示

開示が求められている、以下の14原則についての実施状況および開示内容の概要は以下のとおりです。

原則 1-4 政策保有株式

<グループとしての政策株式の保有縮減に関する方針について>

  • 政策株式とは、総合的な取引関係の維持・強化を目的として、長期保有を前提に投資する株式をいいます。
  • 株価変動の影響を受けにくい強固な財務基盤の構築や資本効率性の向上の観点から、政策株式の保有総額を縮減する方針とします(注)。
  • 個別の銘柄ごとに成長性、収益性等から保有の適否を検証し、取引関係強化等の中長期的な視点も踏まえた上で保有の妥当性が認められない場合には、発行体企業の理解を得ながら、売却を進めます。
  • 保有の妥当性が認められる場合にも、市場環境や当社の経営・財務戦略等を考慮し、売却することがあります。
     

(注)グループとしての削減額について、2022年度は当初目標年1,000億円(修正後1,500億円)に対し2,066億円といずれも目標を上回っており、2023年3月末の政策株式の保有時価残高は2兆6,269億円です。更なる資本効率の向上を目指すべく、現在取り組んでいる中期経営計画の4年間(2022年度から2025年度)で4,000億円の削減計画を6,000億円に増額することとしました。また、次期中期経営計画においても同水準の削減を継続し、政策株式保有時価残高を2022年9月末比でおおむね半減することを目指しています。
 

<政策株式の保有の適否の検証と縮減取組み>

  •  三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保が保有している政策株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益、リスク等が資本コストに見合っているか、個別の銘柄ごとに収益性や保険収支を踏まえた保有の適否の検証を実施し、当社の取締役会において、検証結果を確認しています。
  • 個別銘柄の検証結果を踏まえて、合理性目標を充足せず特に改善を要する銘柄については、建設的な対話を実施し、改善が見込まれる場合には保有を継続し、改善の見込みがない場合には売却交渉を実施します。

 

<政策株式にかかる議決権行使について適切な対応を確保するための考え方>

① 議決権行使の基本的な考え方について
議決権の行使は投資先企業の経営に影響を与え、企業価値の向上につながる重要な手段と考えております。このため、定型的・短期的な基準で画一的に賛否を判断するのではなく、投資先企業との対話等を踏まえ、中長期的な企業価値向上、株主還元向上につながるかどうか等の視点に立って判断を行います。
② 議決権行使のプロセス
議決権行使にあたっては、投資先企業において当該企業の発展と株主の利益を重視した経営が行われているか、反社会的行為を行っていないか等に着目し、以下のような項目について議案ごとに確認を行います。さらに必要に応じて個別に精査した上で、当該企業との対話等の結果を勘案し、議案への賛否を判断します。
<主な議案の種類および精査事項>

議案種類 確認事項
剰余金の処分 株主還元の状況
取締役の選任 企業価値の向上状況、不祥事等の発生状況、独立社外取締役の選任状況、取締役会等の出席状況
監査役・会計監査人の選任 不祥事等の発生状況、取締役会・監査役会の出席状況
役員報酬・賞与、役員に対する退職慰労金・弔慰金 企業価値の向上状況、取締役会等の出席状況、不祥事等の発生状況
新株予約権の発行及び株式報酬 業績連動採用の有無・付与対象者、既存株主の持分割合減少有無
定款変更 個別に精査
買収防衛策 個別に精査
株主提案 個別に精査

 

③ 議決権行使に係る賛否判断の基準
三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保においては、保有株式の議決権行使に際しての具体的な判断基準・ガイドラインを設けています。基準・ガイドラインに該当した場合等、必要に応じて投資先企業と対話を実施し、対話の内容等を踏まえた上で議案の賛否を判断しております。


*詳細は両社のウェブサイト(スチュワードシップ活動の概況報告)をご覧ください。

原則 1-7 関連当事者間の取引

a.当社は、関連当事者間の取引に関しては、会社及び株主共同の利益を害することのないよう、複数の社外取締役を含む取締役会において審議した上での承認事項としています。また、(a)及び(b)の事項について執行役員が行う場合は、取締役会への報告事項としています。
  (a)取締役による他会社取締役、執行役及び監査役の兼任
  (b)取締役による競業取引並びに役員と会社間の取引及び利益相反取引
  (c)当社の重要な財産の処分及び譲受

b.会社法、財務諸表等規則で定める「関連当事者との取引」に該当する場合は有価証券報告書に記載しています。
  なお、有価証券報告書の作成は取締役会への報告事項としています。

補充原則 2-4 ① 企業の中核人材の多様性の確保

コーポレートガバナンス報告書のⅢ 3.ステークホルダーの立場の尊重に係る取組み状況をご覧ください。

原則 2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮

  • グループの主要事業会社である三井住友海上およびあいおいニッセイ同和損保において、確定給付企業年金を実施するにあたり、三井住友海上企業年金基金およびあいおいニッセイ同和企業年金基金を設立して年金資産を会社から分離し運営しています。
  • 各企業年金基金の資産運用に関する意思決定は、資産運用委員会の審議を踏まえ、代議員会で決定しています。資産運用委員会および代議員会には、各社の資産運用、経理、人事部門の適切な資質を持った人財を配置するとともに、受益者代表として労働組合幹部等を配置しています。
  • 各企業年金基金においては、資産運用経験豊富な人財が資産運用業務に従事しています。また、スチュワードシップ・コードを受け入れています。
  • 各企業年金基金において、株式の組み入れおよび投資先への議決権行使については運用委託先の判断基準に従っており、利益相反に該当する事項はありません。

 

原則 3-1 情報開示の充実

(ⅰ) 経営理念・経営戦略等

以下のリンク先または定時株主総会招集通知(経営理念等は表紙裏面)をご覧ください。

(ⅱ) コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方・基本方針

(1)当社は、グループの事業を統括する持株会社として、「経営理念(ミッション)」の下、経営資源の効率的な活用と適切なリスク管理を通じ、グループの長期的な安定と持続的成長を実現するため、全てのステークホルダーの立場を踏まえ、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための経営体制を構築し、企業価値向上に努めます。

(2)グループの全役職員が業務のあらゆる局面で重視すべき「MS&ADインシュアランス グループの経営理念(ミッション)・経営ビジョン・行動指針(バリュー)」を策定し、当社及びグループ会社の全役職員へ浸透させるよう努めるとともに、グループ中期経営計画において、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスク管理等を経営の重要課題として位置づけ、計画の推進に積極的に取り組みます。

コーポレートガバンスに関する基本方針は以下のリンク先をご覧ください。

(ⅲ) 報酬決定方針・手続き

以下のリンク先をご覧ください。

(ⅳ) 経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補指名の方針・手続き

以下のリンク先または定時株主総会招集通知(21ページ)をご覧ください。

(ⅴ) 個々の選解任・指名についての説明

定時株主総会招集通知 7~19ページの各取締役候補及び監査役候補に関する説明をご覧ください。

補充原則 3-1 ③ サステナビリティについての取組み等

a.サステナビリティについての取組み
当社「サステナビリティレポート」をご覧ください。

b.気候変動に係るリスク及び収益機会が事業活動や収益等に与える影響
当社「TCFDレポート」をご覧ください。

c.自然資本に係るリスク及び収益機会が事業活動や収益等に与える影響
当社グループは自然資本の持続可能性向上に役立つソリューションや商品の提供を通じ、自然資本と事業活動との持続可能な関係を構築し、地球環境との共生に貢献していきます。該当ページこちらをご覧ください。

d.人的資本や知的資産への投資等
(a)人的資本
「MS&AD統合レポート2022」の85~88ページをご覧ください。

(b)知的財産
当社グループにおける知的財産への投資に関して、CSV x DXを軸に、デジタル・データを活用して補償・保障前後の新たなサービス開発に取り組んでいます。あわせて、課題別委員会に「デジタライゼーション推進委員会」を設置し、デジタライゼーション推進に関する議論を定期的に行っています。
その他、スタートアップ企業への投資を通して、当該企業と連携し先端技術を新たなサービスの提供や業務の高度化などに役立てています。主な取組内容は以下のとおりです。

・リスク測定(数値化)やお客さまの安心・安全対策に資する個人・企業向け新サービスの提供
※気候変動リスク分析ベンチャーJupiter IntelligenceとのTCFD向け気候変動影響定量評価サービスを提供 ~気候変動による自然災害リスクの影響を全世界対象に評価~

・商品開発・保険引受・損害サービス等の業務の高度化・効率化

補充原則 4-1 ① 経営陣に対する委任の範囲

以下のリンク先をご覧ください。

原則 4-9 独立社外取締役となる者の独立性判断基準

以下のリンク先または定時株主総会招集通知(21ページ)をご覧ください。

補充原則 4-10 ① 委員会構成の独立性に関する考え方・権限・役割等

コーポレートガバナンス報告書 II 1.【取締役関係】「任意の委員会の設置状況、委員構成、委員長(議長)の属性」及びその補足説明、並びに「コーポレートガバナンス基本方針」第3章10.指名決定のプロセス及び11.報酬決定のプロセスをご覧ください。

補充原則 4-11 ① 取締役会のメンバーのバランス・多様性・規模に関する考え方と取締役の選任に関する方針・手続き

  • 取締役会は、取締役11名(男性8名、女性3名)のうち5名、監査役4名(男性2名、女性2名)のうち2名を社外から選任することで、経営から独立した社外人財の視点を取り入れて監視・監督機能を強化し、透明性の高い経営を行っています。当社では取締役会の実効性確保に必要なスキルを選定し、スキルマトリックスを作成し取締役会全体として必要なスキルが備わっていることを確認しています。また、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスを考慮するとともに、性別や人種・国籍などを含めた多様性の確保に努めています。
  • 社外取締役は、会社法および保険業法に規定された適格性の要件を充足するとともに、企業経営 ・人事 ・人材育成 ・法務など一般的に求められるスキルのほか、保険事業・国際性といった当社グループの事業特性に合わせたスキル、その他 IT・デジタル・サステナビリティなどの知識 ・ 経験を踏まえて選任しています。
  • 社外取締役以外の取締役については、法的な適格性を充足するとともに、保険会社において豊富な業務経験を有し保険会社の経営管理に携わっている等、多様性・専門性の高い経験を有し、リーダーシップの発揮により、経営理念等を体現することおよび保険会社の経営全般を的確かつ公正に監督できる知見を有していること等を踏まえて選任しています。
  • 監査役のうち最低1名は、経理または財務に関して十分な知識を有する者を選任することとしています。
  • いずれの社外役員についても当社との間に一般株主と利益相反が生じるおそれがある人的関係、資本的関係、または取引関係その他の利害関係はなく、当社は、株式会社東京証券取引所および株式会社名古屋証券取引所に対し、独立役員として届出を行っています。
     

(取締役の選任に関する方針・手続きについては上記原則 3-1(ⅳ)をご覧ください。)

取締役会のスキル・マトリックスについて

*スキルの考え方
・当社では、取締役会の実効性確保に必要なスキル(知識、経験、能力)を、経営戦略等の重要な事項の判断及び職務執行の監督の観点から、以下のとおり考えております。

①一般的に求められるベースとなるスキル
「企業経営」、「人事・人財育成」、「法務・コンプライアンス」、「リスク管理」、「財務・会計」
②当社グループのコア事業が保険事業であり、グローバルな事業展開をしていることを踏まえたスキル
「保険事業」、「国際性」
③現在の当社の事業環境を踏まえた、事業変革及び市場が重視している課題への対応に必要なスキル
「IT・デジタル」、「サステナビリティ」

・監査役については、「財務・会計」を重要なスキルと考えております。
・「取締役・監査役・執行役員のスキルマトリックス」のとおり、取締役会全体として必要なスキルが備わっているものと考えております。

 

補充原則 4-11 ② 社外役員の兼任状況

定時株主総会招集通知 13~17ページ、38、39ページの各取締役候補・監査役候補等に関する説明をご覧ください。

補充原則 4-11 ③ 取締役会全体の実効性についての分析・評価結果の概要

1. 分析・評価のプロセス

「コーポレートガバナンス基本方針」第3章5.に記載のとおり、取締役会全体の実効性についての分析・評価を毎年実施することとしています。2022年度の取締役会全体の実効性についての分析・評価の概要は、以下のとおりです。

(1) 全取締役に対する自己及び取締役会評価アンケートの実施

  • 取締役会評価に外部視点を取り入れるために2021年度の取締役会評価についてコンサルティング会社と意見交換を行い、その内容を反映させた12項目の質問票(取締役会の役割・責務、運営等にて設問を構成)及び取締役会議案の重要性と充実度に関するギャップ分析を事前に配付し、事務局によるインタビュー形式でアンケートを実施しました。
  • 2021年度の取締役会評価でとりまとめた改善策(2022年度の機能向上策)についても、取組みが実施されているか確認しました。

(2) 社外取締役会議における意見交換

  • 社外取締役会議(社外取締役全員で構成)において、アンケート結果に基づき、分析・評価のための意見交換を実施しました。

(3) ガバナンス委員会における分析・評価のとりまとめ

  • ガバナンス委員会(社外取締役全員、取締役会長、取締役副会長、取締役社長で構成) では、社外取締役会議での意見交換結果も踏まえ分析・評価を行うとともに、コンサルティング会社の意見を踏まえ、2023年度の機能向上策を取りまとめました。

(4) 2022年度の機能向上策は、速やかに取組みを開始・強化し、実効性向上に向けたPDCAサイクルにつなげていくこととしています。

2. 分析・評価結果の概要

2022年度の取締役会における論議内容及び機能発揮、運営面、ならびに社外役員に対する研修・情報提供などから、取締役会の機能発揮は概ね良い評価が得られました。2022年度の取組みと取締役会評価結果、2023年度の機能向上策の概要は以下のとおりです。
(1) 2022年度の取組みと取締役会評価結果

  • 中期経営計画は、社内外のステークホルダーに対するコミットメントであると取締役全員が強く認識し、その進捗状況を適時確認している。取締役会では課題や対策について論議し、計画実現に向けて最善の努力が行われている。
  • 事業会社社員と対話を行い、現場の考え、意見を直接聴くことで、事業会社における経営理念等の浸透状況について理解を深めた。
  • ステークホルダーを巻き込んだ温室効果ガス排出削減取組や、社員を含めた人権尊重取組等、サステナビリティに関する重要な課題については、さらに深く論議することが望ましい。
    ギャップ分析においても「サステナビリティ・ESG」の論議の充実度を高めた方が良いとの結果になった。

(2)2023年度の機能向上策

  • 事業投資案件に関して、検討初期段階から論議する機会を設ける(取締役会における論議に加え、役員勉強会等の場も活用する)。
  • ステークホルダーを巻き込んだ温室効果ガス排出削減取組や、社員を含めた人権尊重取組等、サステナビリティを巡る重要課題について論議する機会を拡充する。
  • 社外役員が社内役員(事業会社の執行役員含む)とフランクに意見交換できる機会を拡充する。

補充原則 4-14 ② 取締役・監査役に対するトレーニングの方針

以下のリンク先をご覧ください。

原則 5-1 株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針

以下のリンク先をご覧ください。