MS&ADインシュアランスグループ(以下当社グループ)は、「グローバルな保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支える」ことを経営理念(ミッション)としています。当社グループは、ステークホルダーの皆さまとともに社会課題の解決に貢献し、社会との共通価値を創造(以下CSV)することで、「レジリエントでサステナブルな社会」の実現に向けて着実に前進してきました。

2022年度からスタートした中期経営計画(2022-2025)(以下中計)では、「リスクソリューションのプラットフォーマー」として社会とともに成長し、レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループを目指しています。これを実現するための基本戦略として「Value(価値の創造)」「Transformation(事業の変革)」「Synergy(グループシナジーの発揮)」を掲げました。

 

「サステナビリティ」については、中計の基本戦略を支える基盤の一つとして位置付けています。そして、当社グループとステークホルダーの双方にとって重要度の高い「地球環境との共生(Planetary Health)」「安心・安全な社会(Resilience)」「多様な人々の幸福(Well-being)」の実現を重点課題に据え、取組みを進めています。

 

「地球環境との共生(Planetary Health)」については、相互に関連している「気候変動への対応(Carbon Neutral)」と「自然資本の持続可能性向上(Nature Positive)」を軸に取り組んでいます。当社グループの温室効果ガス排出量を2019年度対比で2030年度に50%削減し、2050年度にはネットゼロとする目標を掲げ、自社の削減取組みに加え、商品やサービスの提供を通じてステークホルダーとともに社会全体の脱炭素化を進めています。更に、自然資本・生物多様性保全に関するソリューションや商品をご提供しています。加えて、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の参画を通じ、国内外の企業・団体の取組みの開示を促す主導的な役割を果たしていきます。また、従来から取り組んできた環境関連の活動を「MS&ADグリーンアースプロジェクト」として一本化しました。ステークホルダーと一体となり、自然環境の保全・再生や環境負荷軽減、自然を活かした防災・減災、地方創生をテーマとした取組みを実施しています。

 

「安心・安全な社会(Resilience)」については、社会構造の変化や新たな技術の進展に伴って生じる様々なリスクに対応した商品・サービスを提供することで、社会の安定的な発展に貢献していきます。例えば、昨今、急速に高まっているサイバーリスクについては、経済的損失の補償だけでなく、ウイルス検知ソフトの活用による被害の予防や、情報漏えいがあった際の対策の支援など、「補償の前後」への安心を提供しています。自然災害については、風水害リスクの分析・評価と防災・減災の提案、また、罹災後の早期復旧・損害拡大防止を支援するサービスを提供しています。こうしたサービスを通じ、自然災害による直接的な補償のみならず、被害の回避・最小化を支援しています。更に、地方創生にも引き続き取り組み、地域が抱える課題に対して、当社グループの多様性から生まれるソリューションを提供することで、頼られるグループであり続けたいと思います。

 

「多様な人々の幸福(Well-being)」については、「健康・長寿社会への対応」「人権尊重」「社員のエンゲージメント向上」を中心に取組みを進めています。「健康・長寿社会」については、健康増進、未病・重症化予防や、人生100年時代における資産寿命の延伸に資する商品・サービスを提供します。「人権尊重」については、当社グループに加え、ステークホルダーを含めた人権デュー・ディリジェンスで人権尊重取組みを推進します。「社員のエンゲージメント向上」については、ポストチャレンジ制度やリスキリングの機会提供などにより社員の自律的なキャリア形成を支援するとともに、リモートワークの活用など、社員の多様で柔軟な働き方も推進していきます。

 

これらの取組みに加え、人財の多様化にも力を入れ、女性管理職比率の引き上げ、中途社員や外国人留学生の積極的採用などを通じてD&Iを推進し、意思決定層の多様化や、多彩な意見・アイデアが溢れる企業文化を醸成します。

 

近年、自然災害の激甚化やパンデミックに加えて、地政学リスク、生物多様性の喪失といった大きなうねりが押し寄せており、世界の安心と安全を揺るがす、多くのリスクが顕在化しています。こうした中、リスク対応のプロフェッショナルである当社グループの役割がますます重要になっており、リスクソリューションのプラットフォーマーとして、その役割を全うすることで、社会課題の解決に貢献し、社会とともに成長していきます。

2022年10月

原典之<br/>

 

取締役社長 グループCEO