MS&ADインシュアランスグループ(以下当社グループ)は、「グローバルな保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支える」ことを経営理念(ミッション)としています。当社グループは、ステークホルダーの皆さまとともに社会課題の解決に貢献し、社会との共通価値を創造(以下CSV)することで、「レジリエントでサステナブルな社会」の実現に向けて着実に前進してきました。

 

2022年度からスタートした中期経営計画(2022-2025)では、「リスクソリューションのプラットフォーマー」として社会とともに成長し、レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループをめざしています。これを実現するために、3つの基本「Value(価値の創造)」「Transformation(事業の変革)」「Synergy(グループシナジーの発揮)」を定めました。

 

「サステナビリティ」については、中期経営計画の基本戦略を支える基盤取組として位置付けています。そして、当社グループとステークホルダーの双方にとって重要度の高い「Planetary Health(地球環境との共生)」「Resilience(安心・安全な社会)」「Well-being(多様な人々の幸福)」の実現を3つのマテリアリティ(重点課題)として、取組みを進めています。

 

「Planetary Health(地球環境との共生)」については、相互に関連している「カーボンニュートラル(脱炭素・気候変動対策)」と「ネイチャーポジティブ(自然資本の持続可能性向上)」を軸に取り組んでいます。当社グループは、温室効果ガス排出量を2050年度までにネットゼロにする目標を掲げ、環境負荷低減の取組みを進めています。その具体的取組として、グループ独自の環境マネジメントシステム「MS&ADグリーンアースプロジェクト」を通じて、温室効果ガス削減取組をはじめとした自らの事業活動における環境負荷低減取組を積極的に推進しています。更に、保険やコンサルティングの提供を通じて、気候変動による異常気象が企業等の活動に与える影響への対策の提供、脱炭素社会への移行に貢献する商品・サービスの開発を通じ、持続可能な発展を支援し続けていきます。2021年6月に発足したTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)は、情報開示の枠組みを構築し世界の資金の流れが自然にとってポジティブな結果をもたらすように誘導することを目的に設置され、当社もTNFD日本協議会の招集者として主導的な役割を果たしています。当社グループは自然資本の持続可能性向上に役立つソリューションや商品の提供を通じ、自然資本と事業活動との持続可能な関係を構築し、地球環境との共生に貢献していきます。

 

「Resilience(安心・安全な社会)」については、防災・減災に加え新たなリスクへの対応を進めること、その活動が地方創生(レジリエントで包摂的な地域社会づくり)等へつながることまでをめざし、取組みを進めています。また、イノベーションの進展や産業構造の変化に伴う新たなリスクに対応した商品・サービスを提供することで、社会の安定的な発展に貢献していきます。例えば、先進的な調査研究機能と実践的なコンサルティング機能を持つMS&ADインターリスク総研によるコンサルティングを通じ、リスクに備えるためのソリューションを提供しています。また、データ分析やAIによるリスクの可視化、課題解決手段の提供など、自動車事故・自然災害・大規模震災や新型コロナをはじめとした感染症などへの備えを支援し、安心・安全な社会の実現に貢献していきます。更に、防災・減災に関して、官公庁や大学との共同研究を実施するとともに研究成果として新たなサービスの提供を実現していきます。

 

「Well-being(多様な人々の幸福)」については、「健康・長寿社会への対応」「人権尊重の推進」「社員のエンゲージメント向上」を中心に取組みを進めています。「健康・長寿社会」については、生涯現役を実現するための健康増進、充実したセカンドライフを支える資産形成策の提供を行うとともに、超高齢社会を支える事業活動の発展を支援していきます。

 

「人権尊重の推進」については、当社グループに加え、ビジネスパートナーを含めた人権デュー・ディリジェンスで取組みを推進します。「社員のエンゲージメント向上」については、リスキング、リカレント及び専門人財の確保・活躍にも注目しており、デジタル人財育成プログラムに取り組んでいます。また、グローバル人財育成プログラムにも取り組み、国際感覚とグローバルビジネススキル向上のための仕組みを整備しています。更に公募制度(ポストチャレンジ)の拡大や、自ら指定する部署にアピールできる制度(フリーエージェント)の活用などにより、社員が自律的なキャリア形成機会の提供を拡大しています。

 

これらの取組みに加え、多様な社員が一人ひとりの能力を真に発揮できる環境を整備し、「Diversity & Inclusion(D&I)」に「Equity(公平性)」の視点を取り入れ、「DE&I」として推進しています。女性活躍推進は、2030年度末までのグループ目標達成に向けて、活躍の機会を拡大していきます。

 

近年、パンデミックの拡大や地球規模の温暖化による自然災害の激甚化に加え、地政学リスクといった、全世界においてさまざまなリスクが顕在化しています。こうした先行きの不透明な時代にこそ、「リスクソリューションのプラットフォーマー」としての本領を発揮し、社会を支える保険・金融グループとしての使命を全うしていきます。

 

 

2023年10月

原典之<br/>

 

取締役社長 グループCEO