
取締役社長 グループCEOの原典之です。
本年5月に2021年度の決算発表とともに、2022年度からスタートした4か年の新しい中期経営計画を公表しました。
2018年にスタートした前中期経営計画「Vision 2021」では、SDGsを道標とし、CSV(社会との共通価値の創造)に基づく経営を展開してきました。また、計画中に目指す姿として、「世界トップ水準の保険・金融グループの実現」と「環境変化に迅速に対応できるレジリエントでサステナブルな態勢構築」を掲げ、3つの重点戦略「グループ総合力の発揮」、「デジタライゼーションの推進」、「ポートフォリオ変革」に取り組んできました。
その結果、「稼ぐ力」を着実に高めることができ、グループ修正利益は目標の3,000億円を約500億円上回る3,471億円を、当期純利益は年初予想を約330億円上回る2,627億円をそれぞれ達成しました。これらは、いずれも過去最高益となりました。一方、グループ修正ROEは9.5%と、業績予想の8.5%を1pt上回ったものの、目標の10%まであと一歩となりました。資本効率の向上については、新中期経営計画においても、継続課題として取り組んでまいります。
今年度よりスタートした新たな中期経営計画では、「CSV×DX×Global」を軸に、2030年に目指す姿「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業」の実現に向けて、取組みを加速していきます。
2020年度に打ち出した「CSV×DX×Global」は、データやデジタルの力を活用して、社会課題の解決に貢献する商品・サービスをグローバルに展開する戦略です。
昨今、パンデミックや地政学リスク、それに伴うサプライチェーンへの影響、インフレや金利・為替の変動など、私たちを取り巻く事業環境は急速に変化してきています。このような事業環境の中、「リスクソリューションのプラットフォーマー」として、社会課題の解決に貢献し、社会とともに成長していきたいと考えています。
定量面では、2025年度までに国際会計基準IFRS純利益で4,700億円~5,000億円、修正ROEは安定的に10%以上とすることを目指します。これにより、グローバルピア水準の利益規模、資本効率の実現を達成したいと考えています。なお、国際会計基準、IFRSの適用は2024年度以降を予定しています。ステージ1となる前半の2年間は従来どおり日本基準を適用し、ステージ1最終年度の2023年度のグループ修正利益は4,000億円、グループ修正ROEは10%を目標とします。
基本となる戦略は、「Value(価値の創造)」、 「Transformation(事業の変革)」、 「Synergy(グループシナジーの発揮)」 を3つです。また、基本戦略を支える基盤として、サステナビリティ、品質、人財、ERMの強化を図ります。
新中期経営計画の最優先課題の1つは資本効率の向上にあると考えています。このため、資本配賦の最適化を進めます。事業管理を高度化し、機動的な資本移動を行うことによって、より効率の高い事業への資本配賦を行います。こうして実現する効率の高い投資により、利益と資本を増加させ、その資本をさらに資本効率の高い事業に繋げる循環により、株主の皆さまへの還元の増加を実現します。
最後に、株主の皆さまへの還元方針ですが、新中期経営計画の第1ステージ(2022-2023年度)ではグループ修正利益の50%、第2ステージ(2024-2025年度)では還元ベース利益の50%を基本とし、配当および自己株式の取得による還元を実施します。また、これに加えて、市場動向、事業環境、資本の状況などを踏まえ、機動的・弾力的に追加的還元を実施します。
2021年度の1株当たりの配当金は、前期比25円増配の180円、自己株式取得は500億円の実施を決定しました。自己株式取得は、11月19日に発表した250億円に加え、合計で750億円となります。
また、2022年度のグループ修正利益は、2021年度対比減益とはなりますが、一過性の要因を除けば当社グループの稼ぐ力は着実に強化されていますので、2021年度の1株当たりの配当金は、増配を維持し、5円増配の185円を予想しています。
今後も、皆さまのご期待に応えられるよう、引き続き尽力してまいりますので、変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。
2022年6月
