MS&ADインシュアランス グループは、商品・サービスの開発や提供及び投融資などグループのあらゆる事業活動において、環境・社会・企業統治(ESG)などのサステナビリティを考慮しています。
ESGに関する影響は、例えば、基本的人権の尊重を脅かす人権侵害や、違法伐採による森林の減少、経済の成長と安定性をゆるがす汚職・贈賄などがあります。当社グループの事業活動はESGに影響を与える可能性があります。また、当社グループ自身もESGに関する影響を受ける可能性もあります。当社グループは当社グループ自身のリスクとして対応するほか、例えば、事故の低減を目的とし安全運転を支援する運転見守りサービスを付加した自動車保険やビッグデータの活用による自然災害への予防策の提供のように、ESGへの対応をビジネスチャンスにつなげています。ESGに関するリスクと機会を的確に把握し、事業活動に反映していくことが重要です。
特に、ESGのリスクは法的リスク、風評リスク、品質に関わるリスク、事業継続リスク、オペレーショナルリスク、移行リスク、財務リスクなど広範囲に及び、当社グループの事業活動やステークホルダーに大きな影響を与える可能性があります。当社グループは、ESGに関わるこれらのリスクを把握し、事業活動全体にわたって管理しています。
これらのアプローチについて、当社グループは「サステナビリティを考慮した事業活動」を定め、ESG課題への取組方針として掲げています。

なお、ESGの考慮にあたり、国連グローバル・コンパクト、世界人権宣言、企業と人権のための指導原則、国際労働機関の基準、国連腐敗防止条約、及びOECD多国籍企業ガイドラインを参考にしています。

 

「サステナビリティを考慮した事業活動」の実践

当社グループは、2019年5月に、あらゆる事業活動においてサステナビリティを考慮することを表明しました。2020年9月に具体的なプロセスを公表し、環境変化を踏まえ内容を見直しながら、保険引受・投融資を行っています。

[ESGガイドライン]

[保険引受のプロセス※]
保険引受については、グループ方針には適合しているものの、サステナビリティに関するリスク(ESGリスク)が高いと判断される案件については、エスカレーションプロセスを設けています。2020年9月から該当の案件はグループサステナビリティ委員会に報告しています。また、方針の策定及び見直しにあたっては、当社のお客さま企業と対話を行い、脱炭素化への移行に向けた取組みの必要性について相互の認識を共有しています。

 ※投融資のプロセスは、後述の「ESG課題を考慮した投融資」「ESG評価のプロセス」をご覧ください。

 

持続可能な保険原則(PSI)及び責任投資原則(PRI)への署名

当社グループは、環境及び社会の持続可能性に考慮した金融機関における望ましい業務のあり方を模索し、それを普及、促進していくため、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)に参加しています。
UNEP FIが公表した「持続可能な保険原則(PSI)」及び「責任投資原則(PRI)」にも署名しています。UNEP FIやPSIが行った気候変動や自然関連のリスク分析や情報開示を検討するパイロットプロジェクトなどの活動を行っています。

 

ESG課題を考慮した商品・サービスの開発・提供

当社グループは、商品の提供(引受)にあたり、商品・サービスごとの確認項目を定めています。この項目は、自然災害リスクに基づく項目や反社会的勢力への関与、モラルリスクなども含み、リスクに応じた確認を行っています。確認手続はシステム対応を含み、確実な実行に取り組んでいます。また、リスクに応じた決裁を行っており、取締役会に諮っています。
商品の提供(引受)におけるESGリスクの評価・管理は、グループ全体の方向性についてはサステナビリティ委員会で、個別リスクについては主にERM委員会で論議し、グループ経営会議及び取締役会に報告しています。
商品・サービスの開発にあたっては、該当の商品が社会へもたらす価値と、当社グループにとっての価値をさまざまな角度から検討し、商品・サービスの提供による社会との共通価値の創造に取り組んでいます。再生可能エネルギー事業を支援する商品やリスクマネジメントサービスの提供、交通事故抑制を目的とした安全運転講習受講状況による割引制度、多様なライフスタイルをサポートするための同性パートナーを被保険者として設定できる自動車保険など、サステナビリティ課題を考慮したさまざまな商品・サービスを開発しています。
このような商品・サービスの提供にあたり、社員と代理店は、研修等を通じ、ESGリスクを含むサステナビリティ課題への理解を深め、お客さまとの対話を進め、ともにレジリエントでサステナブルな社会の実現をめざして取り組んでいます。

ESG課題を考慮した投融資

当社グループは責任投資原則(PRI)の署名機関として、ESGを考慮した投融資を行っています。
具体的には、当社グループの優先取組課題を踏まえて、ESGの要素を考慮したプロセスの構築や、収益性を前提としてESGテーマ型投資(サステナブル・テーマ型投融資、インパクト投資)に取り組んでいます。また、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は「日本版スチュワードシップ・コード」の受入れを表明し、ESGの観点を踏まえた投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を実践し、投資先企業のESGへの意識をより高め、中期的な企業価値の向上を促す取組みを進めています。

ESG投融資の取組み

投融資プロセスへの統合―投資プロセスへのESG要素の体系的な組込み

責任ある機関投資家として建設的な対応を実行

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、機関投資家として社会的責任を果たす観点から、機関投資家向けに定められた行動規範「日本版スチュワードシップ・コード」の趣旨に賛同し、受入れを表明しています。本コードに沿い、中長期的な視点での投資先企業の企業価値向上や持続的な成長を促す観点から、経営上の課題や株主還元方針、ESGなどの非財務情報の把握に重点を置いた投資先企業との「建設的な対話」を行う方針としています。なお、2023年7月〜2024年6月の対話実績は2社合計で342社となりました。

加えて、投資先企業への建設的な対話(エンゲージメント)を通じ、脱炭素社会の実現に向けて、温室効果ガス排出量の削減とTCFD提言に基づく情報開示を促しています。具体的な確認事項としては、気候変動対応の組織体制、温室効果ガス排出量削減目標に向けた取組み、技術革新計画や課題の把握等となります。

<気候変動に関する建設的な対話(エンゲージメント)の取組事例>

気候変動への対応を含むESGテーマ型投資

<ESGテーマ型投資>

脱炭素化への移行には、温室効果ガス排出量の大幅な削減に向けた技術革新や設備投資が必要であり、関連産業での資金需要の拡大や新たな金融商品・サービスへのニーズの拡大等は、金融機関にとっての機会となり得ます。当社グループは、気候変動を含む社会課題の解決につながるテーマなど、収益性の確保を前提としたESGテーマ型投資に取り組んでいます。

保険料として預かった保険資金を運用する保険会社の使命として、収益性があり、環境や社会的に貢献しうる案件など、質を重視して投資していきます。

 

<インパクト投資>

当社グループは、「グローバルな保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支える」ことを経営理念としています。本投資を通じて、経済的リターンの獲得と同時に、ポジティブで測定可能な環境・社会へのインパクトの創出を目指します。また、今回の投資を契機として、インパクト投資に関するネットワークを構築するとともに、環境・社会へのインパクトの評価・管理の知見を蓄積することで、SDGsの達成及び持続可能な社会づくりに貢献していきます。

グループ共同のインパクト投資

ESG投融資の推進態勢

責任投資のグローバル基準であるPRI(責任投資原則)の署名機関として、ESG投融資の活動状況や進捗状況をPRIに報告するとともに、ESG取組の年次評価を受けています。PRIの年次評価の結果を活用し、ESG取組のレベルアップを目指しています。

テーマ型投資の主な取組み

インパクト投資

グループ共同で海外のインパクトファンドに投資

ファンド投資を通じて、「気候変動対策」を中心に、「包摂的な成長・ヘルスケア・教育」等のソーシャルインパクトテーマにも投資

 

SDGsへの貢献に向けたインパクト投資のグループ共同での実行について

ソーシャル・インパクト・ボンドへの投資

医療・介護分野等、日本の地方自治体と協働で地域が抱える社会的・環境的課題解決を目指す投資

 

Next Rise ソーシャル・インパクト・ファンドへの投資について

バイオヘルスケアファンドへ投資

バイオヘルスケア分野に取り組むスタートアップ企業への投資

 

バイオヘルスケアファンドへ投資について

クライメート・アンド・ネイチャー・トランジションファンドへの投資

気候変動や自然資本の保護に関連する課題解決を促進することで、投資先企業の価値向上と持続可能な社会の実現を目指す投資

 

クライメート・アンド・ネイチャー・トランジションファンドへの投資について

森林ファンドへの投資

森林の保全・管理を通じ、主にカーボンクレジットの獲得により経済的リターンのみならず、社会的・環境的な価値の創出を目指す投資

 

森林ファンドへの投資について

サステナブル・テーマ型投資

ESG全般

サステナブルファイナンスの発展に向けた事業構想の共同検討

国内の機関投資家とサステナブルファイナンスに係る事業構想の共同検討を開始。運用機関と投資先をつなぐデジタルプラットホームを構築することで、ESG に関する相互理解・情報開示などを促進する。

 

サステナブルファイナンスの発展に向けた事業構想の共同検討を開始

グリーン/ソーシャル/サステナブルボンドへの投資

国内外の企業が発行するグリーンボンドやソーシャルボンド等へ投資

世界銀行「サステナブル・ディベロップメント・ボンド」への投資

世界銀行が開発途上国の貧困削減及び開発支援のために取り組む、教育・保健・インフラ・行政・農業・環境等の幅広い分野のプロジェクトを支援

 

債券投資を通じた社会貢献 世界銀行「サステナブル・ディベロップメント・ボンド」への投資について

外部委託ファンドの投資プロセスにESGガイドラインを組込み

親密提携先であるグッゲンハイム社に委託している海外債券ファンドの投資プロセスにESGガイドラインを組込み

SDGsファンドへの投資

提供する製品・サービスを通じてSDGs達成にプラスの貢献をしている企業の中から、その事業によって企業価値向上が見込まれる企業へ投資

環境の分野

再生エネルギー発電プロジェクトへの投融資

再生可能エネルギーの普及推進を目的に、太陽光、風力、バイオマス発電への融資、ファンドへの投資を実施

未来創生ファンドへの投資

「知能化技術」「ロボティクス」「水素社会実現に資する技術」「電動化」「新素材」を中核技術と位置付け、それらの分野の革新技術を有する企業、又はプロジェクトを対象に投資

トランジションファイナンス

企業の温室効果ガス排出量削減取組を支援

GX経済移行債への投資

再生可能エネルギーの普及推進を目的に、太陽光、風力、バイオマス発電への融資、ファンドへの投資を実施

 

GX経済移行債への投資を通じて日本の脱炭素取組みを支援

持続可能な社会の実現に貢献するスタートアップへの投資

持続可能な社会の実現に貢献する革新的なビジネスモデルや技術を有するスタートアップ企業への投資

 

持続可能な社会の実現に貢献するスタートアップへの投資

社会の分野

独立行政法人国際協力機構「ピースビルディングボンド」への投資

紛争・内戦により影響を受けた国・地域等の平和と安定や復興に資する事業を支援

 

独立行政法人 国際協力機構(JICA)が発行するピースビルディングボンド(平和構築債)への投資について

社外からの評価

MS&ADインシュアランス グループでは世界的なESG評価機関の評価をサステナビリティ取組みの向上に活かしており、ESGに関するインデックスへの組入れや評価を獲得しています。