グループの最大の財産は人財であり、企業価値向上の原動力はグループの社員一人ひとりです。中期経営計画(2022-2025)の基本戦略に連動する人財戦略のもと、「最適な人財ポートフォリオの構築」「社員の能力・スキル・意欲の最大限発揮」を進め、Value(価値の創造)、Transformation(事業の変革)、Synergy(グループシナジーの発揮)に取り組んでいます。
また、社員のエンゲージメントを向上させるため、自律的なキャリア形成機会、柔軟で効率的・効果的な働き方、チャレンジ精神を後押しする企業文化といった職場環境の整備を進めています。

人財戦略

中期経営計画(2022-2025)では、「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループ」を実現するため、「Value(価値の創造)」「Transformation(事業の変革)」「Synergy(グループシナジーの発揮)」を基本戦略に掲げました。この戦略を実現するのは、グループ社員の一人ひとりであり、戦略実行に必要な、人財や組織の「めざすべき姿(To be)」と「現在の姿(As is)」とのギャップを把握し、ギャップ解消のロードマップとなる「人財戦略」を実行します。

最適な人財ポートフォリオ構築

既存の保険事業の枠組みにとらわれず、高度な知識や最先端の技術を活用して自律的に行動し、変革にチャレンジする人財を輩出し続ける会社をめざします。リスキリングやリカレント等、自律的な学習メニューへの投資拡充による人財育成とともに、外部人財の採用を含めた専門人財の確保・活躍促進等により、最適な人財ポートフォリオを構築します。

<専門人財育成の取組例>

デジタル人財の育成

大学等の教育機関との連携を通じた当社グループ独自のデジタル人財育成プログラムを実施
<研修・制度の例>
・MS&ADデジタルアカデミー
・MS&ADデジタルカレッジfrom京都
・システム×デザイン思考研修
・滋賀大学大学院派遣(AD)

デジタル技術によるプロセス・サービス等の効率化・利便性向上にとどまらず、当社グループのビジネス全体の変革をめざす取組み

アクチュアリー資格取得の支援

商品開発、リスク管理等に確率・統計等の手法を駆使する数理のプロフェッショナルである人財育成として、日本アクチュアリー会が実施する資格試験への挑戦を奨励・支援

ESGデータ・資料(アクチュアリー人数)

イノベーション創出に向けて企業のリカレント教育を支援

京都先端科学大学とMS&ADインシュアランス グループ ホールディングスが共同で開発したデジタルやEV(電気自動車)分野のリカレント教育プログラム「MS&ADデジタルカレッジ from 京都」を、2023年4月から企業・団体・地方自治体向けに紹介・販売

 

大学と提携したリカレント教育プログラムの販売を開始(MS)

社員の能力・スキル・意欲の最大限発揮

魅力ある職場環境の整備

自律的なキャリア形成機会

自らが希望するポスト・部門に異動し、活躍のステージを広げるための公募制度(ポストチャレンジ)の活用を拡大し、グループ会社間での人事異動、人財育成、キャリア形成取組を活性化します。また、自身を即戦力として、これまで培ってきた能力・スキル等を自ら指定する部署にアピールできる制度(フリーエージェント)の活用や、社員が既存組織の枠を超えて会社施策に参画する仕組みなど、自律的なキャリア形成機会の提供を拡充しています。

新たなチャレンジを後押しするマネジメント

チャレンジを奨励し、社員の意欲を引き出し活かす意識改革・風土醸成につながるマネジメントを展開します。マネジメント層向けの研修や、上司部下面談の運営等を通じて、失敗をおそれずチャレンジすることの重要性を浸透・定着させ、実践していきます。

柔軟で多様な働き方

在宅勤務と出社を効率的に組み合わせ、リモートワークを活用した業務運営を進めています。また、ジョブ型雇用の導入や、副業・兼業の緩和により、スキル向上・活用の機会を拡大します。キャリアビジョンやライフイベント等に応じた転居転勤の可否選択を柔軟に認めていきます。

 

完全ロケーションフリーなコールセンターシステムの導入(AD)

目標設定や多面評価による社員育成

<目標設定・面談による社員育成>

社員一人ひとりが働きがいや成長を実現するための仕組みとして、個人目標やキャリアビジョンを設定し、上司との面談を行う制度を導入しています。全社員が、グループの「ミッション・ビジョン・バリュー」に立ち返るとともに、サステナビリティの観点も織り込んだ目標をたて、上司と年数回の面接対話を実施し、目標・課題・成果を共有することで、人事考課の納得性・公平性を高めるとともに、キャリアビジョンを共有し社員の育成につなげています。

 

<360度フィードバック>

同僚や上司、部下など複数人の視点から評価を受ける、360度フィードバックを導入しています。「役職等の立場に応じて求められる行動」に関して、自分自身と他者の観察結果をもとに日常を振り返り、行動変容・発揮につなげ、自己成長を目的に実施しています。

<研修・教育の取組例>

MS&ADオープンカレッジ

課題解決力等のビジネススキルを習得する集合研修

トレーニー制度

社員の希望により、他部門や他の会社の業務を短期間体験する社内制度
グループ一体感の更なる醸成、コミュニケーション強化を推進

 

ESGデータ・資料(トレーニー制度参加人数)

ポストチャレンジ制度

自らのキャリア形成を考える社員がその内容や希望を会社に伝え、その実現に向け、チャレンジすることができる公募制度
社員の自律的キャリア形成を実現する取組み

社内フリーエージェント制度

自らキャリアビジョンを描き、その実現に向け、自身を即戦力として、これまで培ってきた能力・スキル等を自ら指定する複数の部署にアピールする制度

企業内大学制度
「ADユニバーシティ」

カテゴリーごとのスキルの見える化を実現し、業務や役割に留まらず、自らの成長に向け強化すべき能力・スキルの習得にむけた自律的・主体的な学びを後押しする制度

<社会・地域課題の解決に向けた人財育成>

CO2排出量の算定手法に関する資格を必須取得

約1万人の社員を対象に、CO2排出量の算定手法に関する「炭素会計アドバイザー資格制度」の3級資格取得を必須化し、社会・地域課題の解決に向けた人財育成を強化

 

約1万人の社員を対象に、CO2排出量の算定手法に関する資格を必須取得に(AD)

<ライフステージに応じた制度と支援施策の例>

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

多様な社員が一人ひとりの能力を真に発揮できる環境を整備し、新たなイノベーションの創出と企業価値の向上を実現するため、「Diversity & Inclusion(D&I)」に「Equity(公平性)」の視点を取り入れ、「DE&I」として推進しています。
 

<意見やアイデアを積極的に引き出し活かすマネジメントノウハウの展開例>

e-ビジネスゼミ

グループ会社役員が実施する少人数制のオンラインゼミナール

 

多様な人財の知識・経験・価値観をもとにした意見やアイデアを引き出し、そこに至るプロセスや手法を体系化
「インクルーシブ・リーダーシップ」として、グループ各社のマネージャー層向け研修に展開し職場で実践

「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)レポート」を発行

当社グループとしての「DE&Iレポート」を発行し、オフィシャルWebサイトに公開しています。本レポートでは、当社グループとしてのDE&Iの方向性とグループ各社がめざす共通の取組みを提示し、グループ各社におけるDE&Iの具体的な施策を紹介しています。

<ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)レポートコンテンツ>

  DE&Iの実現に向けて
   ・CEOメッセージ
   ・私たちの決意
   ・新たな挑戦と未来に向けた歩み
   ・未来を生み出すためのアクション
  現在の取組み
   ・女性活躍
   ・多様で柔軟な働き方
   ・ワークライフバランス
   ・多様性が活きるインクルーシブな組織づくり
  未来への約束
   ・役員メッセージ

意思決定層の多様化

女性の登用について、役員や管理職への登用のためのパイプライン整備の取組みを強化しています。また、2030年度末までのKPIとして、女性管理職比率を30%に設定するとともに、組織の長となる「女性ライン長」の比率をその半数に定め、意思決定者の多様性を促進しています。

アスリート支援を通じた共生社会の実現の取組み

スポーツ界の第一線で活躍するアスリートの育成・支援及び、パラスポーツの団体への協賛や全国各地で行われる大会の応援等、パラスポーツ支援の取組みを通じ、多様な人財が活躍できる共生社会の実現に取り組んでいます。その一環として仕事と競技を両立できる環境を整備すべく、障がい者を含むアスリートの採用を行っており、オリンピック、パラリンピック、デフリンピック、世界選手権などの国際大会に出場するアスリート社員が多数在籍しています。

 

健康経営の推進

働く社員が健康であることは、社員自身のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上のみならず、当社グループの経営理念の実現にとって欠かせない要素です。
当社グループは、さまざまな価値観を持つ多様な人財が働ける場を提供し、働きやすさ・やりがいを感じながら生産性を高めていくとともに、社員一人ひとりの心身の健康を保持・増進するため、健康や安全に配慮した職場環境づくりに取り組んでいます。また、各職場と健康管理センター(産業保健スタッフ)、健康保険組合、労働組合等が協力・連携し、健康経営推進に取り組む体制を構築しています。

 

柔軟で多様な働き方の推進

在宅勤務を日常的な勤務形態として、在宅勤務と出社を効率的に組み合わせた業務運営や、リモートワーク等の場所を選ばない業務運営を進めています。また、副業・兼業の緩和により、スキル向上・活用機会を拡大します。男性育児休業については、取得率100%・取得日数4週間をめざして取り組んでいます。

働く場所・時間の多様化

固定化していた働く場を多様化し、社員一人ひとりの多様な働き方を推進
<取組例>
・リモートワークの推進(シンクライアントパソコンの配備、業務用携帯電話・スマートフォンの配備、Web会議システムの活用)
・在宅勤務制度、サテライトスペースの活用
・時差出勤制度、シフト勤務制度、短時間勤務制度

役割変革の取組み

社員一人ひとりが一段上の業務を遂行し、更に生産性を高め競争力を強化するよう、社員の意識・行動の変革を推進

長時間労働の防止

長時間労働を防止することで、社員一人ひとりの健康を守り、仕事と生活の両立実現を支援
<取組例>
・定時(17時)退社を前提とした働き方の推進(MS)

・パソコン操作時間が一定時間を越えた社員に対して、産業医による面接指導を実施

 

「定時(17時)」退社を経営目標へ(MS)

有給休暇取得推進

定例休暇の事前計画を立て、定期的な取得実績を確認することにより取得を促進

 

目標と取組実績「年次有給休暇取得日数」

ESGデータ・資料(有給休暇取得率・取得日数)

社員の健康保持・増進

社員一人ひとりの心身の健康保持・増進と、より良い職場環境づくりに取り組んでいます。

健康増進のサポート

健康や生活習慣の改善を意識した行動(=セルフケア)に取り組めるよう、そのきっかけとなるキャンペーンの展開や各種サポートを実施
<取組例>
・ヘルスケアアプリの導入、活用推進による日常の生活習慣見直し
・健康増進キャンペーン実施等の企画、禁煙支援(遠隔治療費用補助)などの提供
・スニーカー通勤奨励、階段昇降(2UP3DOWN運動、階段の消費カロリーステッカー表示、ウォーキングイベント開催)など
・健康経営推進の取組に関するデータを公開し、社員自身の健康に関する意識を向上

 

取組に関するデータ(MS)

健康リテラシーの向上

健康増進に必要な生活習慣やメンタルヘルス等の知識・スキル習得に向けた環境を整備
<取組例>
eラーニング、トップアスリートによる運動推進動画、心身の健康・食生活・運動・睡眠・喫煙など生活習慣に関する情報提供、巡回健康相談や階層別研修等での健康教育の提供を実施

メンタルヘルス・ケア

健康管理センターや社員相談室を設置し、社員のメンタルヘルスをケアする他、セルフケア・ラインケアの教育・支援も実施

また、ストレスチェックをグループ統一で実施し、メンタル不調の未然防止の仕組みを強化するとともに、集団分析の結果を、より良い職場環境づくりに活用
<取組例>
予防活動:研修・eラーニング・ストレスチェック・職場巡回健康相談
疾病者への支援:療養中の相談
復帰支援:回復期の復帰準備等

治療・療養との両立支援制度

病気、ケガの治療・療養と仕事の両立を支える制度を整備※
【休暇制度】
・毎年、有給休暇(最長32日間)を付与。残余日数は20日を限度として繰り越し、治療・療養のために連続して休暇取得が可能
・繰り越した休暇の残余日数は、累計65日を限度として積み立て、私傷病の治療・療養等のために連続して休暇取得が可能
【支援制度】
傷病等による制約がある場合、在宅勤務や時短勤務、私有車通勤等が可能

(※)事業会社・社員区分等により、取得・積立できる休暇や日数、支援制度は異なる

安全に配慮した職場づくり(労働安全衛生法遵守)

グループ国内保険会社では、労働安全衛生法に基づく衛生委員会を設置し、月1回健康障害の防止や健康の保持増進に関する事項を調査・審議するなど、安全に配慮した職場づくりに取り組んでいます。

グループ統一健康診断制度

全国各地の従業員が均質な健康診断・結果判定を受けられるよう、MS&ADホールディングスが主体となってグループ統一の健康診断制度を運営
健康診断結果に基づき、有所見者には、産業医や産業看護職による保健指導や受診勧奨等の重症化予防、フォローアップを実施

 

ESGデータ・資料(健康診断受診率)

職場環境整備

社員の業務効率アップと心身の健康の確保につなげるため、照明、換気、温度湿度、騒音や人間工学に配慮した快適な職場環境を整備

労働災害発生の防止

職場巡視・リスクアセスメントを実施し、転倒等事故防止に向けた必要な職場環境整備を実施
また、社有車を使用するグループ保険会社では、事故発生状況を管理し、社有車の安全運転管理規則に則り、安全運転のための取組みを実施

 

ESGデータ・資料(労災申請件数)

社員とのコミュニケーション

社員一人ひとりが会社のめざす方向を理解し、その達成に向け意欲・能力を最大限に発揮できる環境をつくっていくことが重要と考え、そのためにさまざまな社員とのコミュニケーション機会を設けています。また、社員から寄せられた声は、経営改善や商品・サービスの品質向上に活かしています。

社員意識調査
『社員満足度』

当社グループ社員の意識調査を毎年定点観測し、会社制度・施策及び環境整備の検討に活用 
2019年度からは海外拠点に所属する社員にも同様に実施

 

目標と取組実績「社員意識調査」

社員の声を業務改善に活かす
仕組み

社員が改善提案等を投稿できる掲示板を社内システム上に設置。投稿内容は本社各部が検討し、検討結果をフィードバックする仕組みを運営

役員との対話

社員の声を経営に活かすため、社員と経営トップ層との意見交換の場を定期的に設定