昨年より、保険料調整行為および代理店による不適切な保険金請求の問題において、皆さまにご迷惑とご心配をおかけしております。「経営理念」「経営ビジョン」「行動指針」(ミッション・ビジョン・バリュー)に立ち戻り、「お客さまの最善の利益」を追求する会社へと変革すべく、保険事業会社はもとより、当社グループ全体で再発防止策を徹底し、信頼回復に向けて取り組んで参ります。
MS&ADインシュアランスグループは、「グローバルな保険・金融サービス事業を通じて安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支えます」というミッションのもと、2010年に誕生しました。このミッションの実現に向けて、2030年にめざす姿として「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループ」を掲げ、社会とのかかわりを大切にしながら着実に成長してきました。
『レジリエントでサステナブルな社会』とは、「予期せぬ出来事による被害を最小限に抑え、新しい環境に適応し、再び発展できること」、「経済と環境、社会のバランスが保たれ、地球環境や社会システムが将来にわたって持続し得ること」を意味します。当社グループは、CSV(社会との共通価値の創造)を経営基盤に、気候変動をはじめとするさまざまな社会課題の解決に貢献し、社会とともに成長することで、新たなステージを目指しています。
社会に目を転じると、世界的なインフレがピークアウトし、金融引締め局面からの転換がみられつつある一方、金融市場の混乱やインフレの再燃、各地の紛争激化による地政学リスクの高まりなどが懸念要因となり、世界経済の成長を弱めています。また、地球規模の温暖化による自然災害の多発と激甚化は、人々の生活や企業の事業活動に深刻な影響をもたらしています。
不確実性が高まる現代において、経済的損失の補填はもとより、防災・減災サービス等の提供を通じて 社会インフラとしての役割を果たしていくことが強く求められていると感じます。同時に、当社グループの事業における大きな転換点と捉えて、スピード感を持って変革に取り組んでいきます。
2024年からスタートした中期経営計画(2022-2025)第2ステージでは、保険料調整行為や代理店による不適切な保険金請求の問題を真摯に受け止め、お客さまの信頼回復に向けて全力で取り組むべく、事業のあり方を抜本的に見直します。そして「提供価値の変革」「事業構造の変革」「生産性・収益性の変革」の3つの変革による「ビジネススタイルの大変革」を進めます。そのうえで、補償・保障前後における新たな価値を提供する商品・サービスの開発、成長領域やデジタル・人財への投資、業務効率化と品質向上を推進し、従来の保険の枠組みを超えた「リスクソリューションのプラットフォーマー」として進化していきます。
MS&ADインシュアランスグループは、今後も、ステークホルダーの皆さまとともに、社会との共通価値を創造し、「レジリエントでサステナブルな社会」の実現に貢献していきます。引き続き、一層のご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
2024年6月
取締役社長 グループCEO