資本効率性

ROEの引上げと、リスク削減による資本コスト率の引下げに取り組みます。

企業価値向上への取組み

国内損保・国内生保・海外事業の保険引受利益拡大、事業費率引下げ、資産運用利益の拡大によりグループ修正ROEを向上させるとともに、海外自然災害リスクの削減、政策株式削減加速等により資本コスト率の引下げに取り組むことで、エクイティスプレッドの安定的な拡大を図ります。

 

海外自然災害リスクについては、米国風水災リスクを抑制する一方、再保険市場ハード化の機会を捉え、慎重に引受利益を拡大しています。
政策株式については、現中期経営計画では、当初、年間1,000億円、4年間で4,000億円の削減を計画していましたが、削減計画を引き上げ、4年間で6,000億円削減することとしました。なお、2022年度はこの引き上げた計画に沿って2,066億円の削減を行いました。次期中期経営計画においても同水準の削減を継続し、2022年9月末比で時価残高の半減をめざします。
また、三井住友海上あいおい生命の金利リスク削減は、超長期債投資の拡大によるALMを推進し、ヘッジ比率(資産の金利感応度/負債の金利感応度)を概ね100%水準とするなど、取組みを完了しています。

 

事業投資と事業管理の高度化

事業投資は、事業ポートフォリオの地理的・種目的分散・拡大のためのM&Aを指向します。また、事業管理の高度化を推進し、資本効率の高い事業に機動的に資本を配布します。
2023年1月に米国のTransverse Insurance Group、LLC社を買収、2023年6月に三井住友海上ケアネットを事業譲渡するなど、事業ポートフォリオの入替えを進めています。

株価、PBRの状況

ROEの引上げ、資本コスト引下げ等、資本効率重視の経営を進め、株価、PBRは着実に上昇しています。現中期経営計画がスタートした2022年3月末以降の株価はTOPIXのパフォーマンスを上回り、足元ではPBR1倍超えも展望できる状況にあります。

財務健全性

AA格相当の財務健全性を維持し、持続的な成長のための投資と安定的な株主還元を行います。

当社グループでは、AA格相当の財務健全性の維持をめざしており、その目安としてESR180%~250%を目標水準としています。2023年3月末のESRは、228%であり、市場変動によるストレスを与えた場合でも目標レンジ下限の180%を十分に満たす水準となっています。引き続き持続的な成長のためのリスクテイクと株主還元をバランスよく実施していきます。

株主還元

利益の50%を基本に配当及び自己株式取得によって、株主還元を行います。

中期経営計画の株主還元方針は、基礎的還元としてグループ修正利益の50%、IFRS移行後の2025年度は還元ベース利益※の50%を基本とし、配当及び自己株式の取得による還元を実施します。加えて、事業環境、ESRの水準、流動性、株価動向などを踏まえ、機動的・弾力的に追加的還元を実施します。
2022年度の株主還元は前期比20円増配の年間200円の株主配当及び合計200億円の自己株式取得を決定し、配当利回りは4.9%、総還元利回りは5.8%となりました。
2023年度分の年間配当は、40円増配の240円を予想しています。引き続き、持続的な成長により企業価値を高め、安定的な株主還元をめざしていきます。