資本効率性

事業管理の高度化と機動的な資本移動で、グループ資本配賦を最適化し、資本効率の向上をめざします。

グループ資本の最適化による資本効率向上

中期経営計画(2022-2025)の最優先課題の一つは資本効率の向上であり、グループにおける各事業への資本配賦の最適化を推進していきます。
まずは、事業管理を高度化し、機動的な資本移動を行うことによって、より効率の高い事業への資本配賦を行います。こうして実現する効率の高い投資により、利益と資本を増加させ、その資本を更に高効率の事業投資につなげる循環により、株主の皆さまへの還元の増加を実現します。
また、グループ各社の事業ごとの課題を明確化し、課題解決に向けた取組みを進めることで企業価値を向上させます。

事業管理の高度化の具体策

具体的には、グループ各社のさまざまな事業について、ROR(Return on Risk)やVA(Value Added)のモニタリングを強化し、グループ修正ROE10%相当のRORに満たない事業については、課題を明確化し、RORの向上策を検討・推進します。改善が見込めず、成長性が低い事業については撤退も含めて検討し、より効率の高い事業への資本配賦を行います。見直し対象は、①資本コスト対比で十分な収益が得られない状況が続き、改善が見込めない先、②シナジー効果などのグループへの貢献が見込まれない先、③事業を行っている市場の成長が見込めない先等を想定しています。
また、グループ各社の移転可能な資本を持株会社が常時把握し、移転の方法をあらかじめ想定しておきます。これにより、成長事業への投資など、より資本効率の高い事業機会へ資本配賦を機動的に行うことが可能な態勢を整えます。

既存事業・新規事業への投資方針

事業投資方針は、ボルトオン型を含む、企業価値拡大に繋がる投資を検討していきます。具体的には、IT投資など競争力強化のための投資、M&Aなど事業ポートフォリオ分散・拡大のための投資、スタートアップ投資など新規事業領域の創造のための投資の3つの事業投資を効率的に実施し、企業価値拡大を実現していきます。いずれの投資も、資本コスト(7%)を明確に意識し、投資効率を重視した検討を行います。

資本政策 リスク削減

三井住友海上あいおい生命の金利リスク削減は、超長期債投資の拡大によるALMを推進し、2021年度末のヘッジ比率(資産の金利感応度※/負債の金利感応度)を概ね100%水準とするなど、取組みを完了しました。一方で、ピークリスクである政策株式の年間1,000億円の削減(中期経営計画(2022-2025)累計4,000億円以上)は継続的に取り組み、連結総資産に占めるウェイト10%未満、リスク量に占めるウェイト30%未満をめざします。
また、利益のボラティリティ抑制のため、海外自然災害リスクの削減にも取り組み、2022年度には、前年比で期間損益影響20%の削減を目指します。
※金利0.5%変動時の時価変動額

財務健全性

AA格相当の財務健全性を維持し、持続的な成長のための投資と安定的な株主還元を行います。

当社グループでは、AA格相当の財務健全性の維持をめざしており、その目安としてESR180%~250%を適正水準としました。中期経営計画(2022-2025)においては、事業投資に対応する資本を蓄積していくため、ESRの上限を30ポイント引き上げました。
2022年3月末のESRは、劣後債の償還やリスク量の計測の高度化などを行った結果、前期比7pt低下の228%となりました。引き続き持続的な成長のためのリスクテイクと株主還元をバランスよく実施していきますが、特段の事業投資案件がない場合やESRが恒常的に250%を超えるようになった場合には、株主還元の拡充を行っていきたいと考えています。

株主還元

利益の50%を基本に配当及び自己株式取得によって、株主還元を行います。

中期経営計画(2022-2025)の第1ステージ(2022~2023年度)ではグループ修正利益の50%、第2ステージ(2024~2025年度)では、還元ベース利益※の50%を基本とし、配当及び自己株式の取得による還元を実施します。
加えて、市場動向、事業環境、資本の状況などを踏まえ、機動的・弾力的に追加的還元を実施します。
追加的な還元の検討の目安は、ESRが目標レンジ上限を恒常的に超過する場合、大規模自然災害等による減益時に安定的な還元を維持する場合、効率的な成長投資が見通せない場合等です。
2021年度の株主還元は前期比25円増配の年間180円の株主配当及び合計750億円の自己株式取得を決定し、配当利回りは4.5%、総還元利回りは7.9%となりました。また、2022年度の配当は、更に5円増配の年間185円を予想しています。引き続き、持続的な成長により企業価値を高め、安定的な株主還元をめざしていきます。

※還元ベース利益=IFRS純利益-IFRS純利益からの調整項目*+政策株式売却損益
*市況変動影響、新契約費繰延影響、不利契約関連損益、無形固定資産の償却、のれんの減損