大転換期をチャンスととらえ
飛躍的成長を遂げるべく
資本政策に挑む
取締役 副社長執行役員 グループCFO
樋口 哲司
私は2020年にグループCFOに就任しました。以来、企業価値を向上させ、株主の皆さまの期待に応えるために、成長のための投資、株主の皆さまにご納得いただける株主還元、財務健全性の維持について、どのようにバランスを取るかを常に考え、実践してきました。この間、当社を取り巻く経営環境は大きく変化しましたが、株式関連の評価指標が市場平均を大きく上回って推移するなど、市場からは概ねポジティブに評価いただいているものと思います。
足元では、2023年に生じた当社グループを含めた業界問題への対応として、政策株式をゼロにすることを決め、今後6年間で、数兆円にのぼる資金(売却益)が生まれる見込みです。これを企業価値と株主価値の向上にいかにつなげるかという、私がCFOとなってからはもちろん、当社の歴史でも前例のないスケールの資本政策の課題に向き合うこととなりました。
大きな方針は既にお示ししています。政策株式の売却により生じる資金を成長投資等に振り向け、それぞれの事業ドメインで、稼ぐ力の底上げを図ります。特に海外事業では、世界最大の保険市場である米国で事業拡大に乗り出し、成長ポテンシャルの高いアジアでは、これまでのアドバンテージにDXというレバレッジを掛けてさらなる成長を指向していきます。適正なバリュエーション水準を見極めることなど、規律を保ちつつも果敢にM&Aを含めた投資を行い、収益力を大きく伸ばすことが重要であると考えています。株主還元についても、これまでお約束している還元方針に沿って還元することはもちろん、長期的にも魅力のある還元水準を維持していきたいと考えています。
CFOとして極めて大きなプレッシャーを感じています。しかし同時に、これまでの延長線上の成長ではなく、例えば現在は概ね6兆円規模の株式時価総額を、遠くない
将来にグローバルピアと同水準の時価総額にするような、非連続的で飛躍的な成長を実現できる絶好のチャンスであるとも感じています。そのような期待と使命感を持って、大きなチャレンジを進めてまいります。
2023年度の連結正味収入保険料(損保)は、国内損害保険、海外子会社とも増収となり、前期比+8.4%の4兆2,617億円となりました。また、グループ修正利益も、海外事業が過去最高益となったこと等により、前期比+71.0%の3,799億円となり、MS&ADグループ創設以降の最高益を更新しました。
中期経営計画第2ステージのグループ修正利益は、政策株式売却加速の影響のほか、国内損害保険事業の収益力の回復、海外事業のさらなる拡大により、2024年度では6,300億円、2025年度では7,600億円を見込んでいます。
資本政策と株主還元については、下記ページを参照ください。