気候関連の財務情報開示(TCFDの最終提言に対する情報開示)

MS&ADインシュアランス グループは、「レジリエントでサステナブルな社会」の実現のために対処すべき社会的課題のひとつとして気候変動の対応に取り組んでいます。
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD Task Force on Climate-related Financial Disclosures)は、企業等による気候関連の任意の情報開示の枠組みを取りまとめた最終提言を、2017年6月に公表しました。
MS&ADホールディングスは、気候関連の取り組みについて、この提言に沿った開示を進めます。

ガバナンス:気候関連の内部統制

気候関連に関する重要な事項は、取締役会で論議・決定しています。
取締役会は、気候関連の課題や取り組みを含む方針・戦略・資本政策などの重要な事項の論議・決定を行うとともに、取締役・執行役員の職務の執行を監督しています。グループ経営会議は、気候関連の課題や取り組みを含む方針・戦略等の重要事項を協議するとともに、執行役員の具体的な業務の執行をモニタリングしています。気候関連の課題や取り組みの進捗は、主として、サステナビリティ委員会およびリスク管理委員会(いずれも原則年4回)等での論議を経て取締役会とグループ経営会議の双方に報告されています。

戦略:気候関連のリスク・機会

当社グループは、財務の健全性・収益の安定性を維持しながら、台風や洪水等の気候関連の自然災害による被害を補償し、災害へ備えるコンサルティング等を、国内外で展開していきます。

<気候関連のリスク>
台風等の自然災害による損害は時に巨額になることがあり、また、気候変動の影響により世界的に自然災害が増加・大型化し、予測を超える巨大な自然災害になる可能性があります。当社グループは、再保険の利用や異常危険準備金の積立等によって自然災害による損害に対する保険金の支払いに備えていますが、これらの保険金の支払いが多額に及ぶことにより、業績に影響が生じるリスクがあります。当社グループは、気候変動の影響も考慮して、自然災害リスクの保有量をコントロール※し、財務の健全性の維持に必要な資本を確保しています。
また、多発する自然災害に備え、被害にあわれたお客さまに、いち早く保険金をお支払いできるように、事故受付体制を強化したほか、社外調査機関の共同利用や共同立会拠点の設置等グループ各社で協力し合う態勢を構築しています。

当社グループは、自然災害の発生以外にも、以下のような気候変動の影響を認識しています。
・少雨、干ばつ等の気象条件の変化
・気候変動の影響を緩和させるための環境規制の強化や、技術革新の進展
・環境に関する訴訟の増加

このような自然災害以外のリスクの高まりについても、当社グループの事業へ与える影響をモニタリングし、事業戦略に活用していきます。また、投資先企業とも気候関連のリスクが事業活動に与える影響等について対話を進めていくこととしています。

(※)自然災害リスク保有量のコントロール
気候変動の影響も加味し、統計的な手法により定量的に地域別、災害別のリスク量を評価しています。この評価を踏まえて、適切な保険引受に努めるとともに、再保険手配やキャットボンドの発行、異常危険準備金の積み立てを行っています。これらにより、グループ全体での財務健全性の向上と期間損益の変動リスクの低減を図っています。
具体的には、以下のような取り組みを推進しています。
(1)自然災害リスクの管理
・国内風水災および米国風水災リスクに対して、200年に一度の確率で発生するリスク量を基準にグループ各社の正味保有水準(ガイドライン)を設定し、自然災害リスク量をコントロールしています。
(2)グループ全体での自然災害リスク量の抑制
・米国風水災等のリスク量を抑制しています。
・受再ビジネスは個別に収支状況を管理し、より収益性を重視した引受を行っています。
(3)期間損益の変動リスク低減
・国内自然災害について、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保それぞれの再保険カバーを拡充するとともに、両社合計の年間累計損害額を対象とした共同の再保険カバーを新設しました。これにより、10年に一度の年間損害を前年比約20%削減し、グループ損益に対する変動リスクを低減します。

 <気候関連の機会>
気候変動の緩和と適応に貢献し、社会との共通価値を創造していく取り組み(CSV取組)を進めています。
気候関連の被害を補償する保険商品やリスク評価コンサルティングの提供に加え、再生可能エネルギーや水素技術の普及を支える保険等の商品・サービスの提供に努めています。お客さまの自然災害に対する備えの拡充のため、「水災や地震への備え提案運動」を実施し水災補償や地震補償の普及にも努めています。
さらに、産官学連携の取り組みも進めています。例えば、大学の研究者とともに、洪水リスクの影響評価を研究するプロジェクト「LaRC-Flood®」に参画しています。また、気候変動に関するシンポジウム「気候変動をテーマにSDGsへの次の一歩を考える」を開催し、各界の方々と意見を交換しました。こうした先進的研究や議論を、当社グループのリスク管理の高度化や商品・サービスの開発につなげていきます。

シナリオ分析
当社は、TCFD提言が推奨している気候変動が事業に与える影響のシナリオ分析について、以下のように取り組んでいます。
国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が主導する保険会社のTCFD開示検討パイロットプロジェクトに参加し、保険事業におけるシナリオ分析手法の開発に取り組んでいます。 また、カーボンフットプリントの算出を行い、資産運用ポートフォリオのシナリオ分析にも着手しました。
加えて、台風が保険事業に与える影響のストレステストにおいて、気候変動の要素を考慮したストレシナリオを開発しています。

リスク管理(リスクの評価と管理)

当社は、「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理方針」にもとづいて、気候関連のリスク事象を特定し、ERMサイクル(特定・評価したリスクに優先順位を付けて対応・管理するサイクル)の下で、グループ各社のリスクの管理状況を把握した上で、リスク管理委員会に報告しています。また、ストレステストへの気候変動の反映等による自然災害リスクの管理の高度化を図っています。また、投融資先企業の気候関連の情報開示を促進する対話も開始しています。

指標と目標

<指標と目標>
当社グループは、KPI(主要業績指標)に、「気候変動の緩和と適応に貢献する」取り組みを組み入れています。その取組結果は、当社の社内取締役の業績連動報酬に反映させています。

<CO2排出量削減>
当社グループは、2009年度を基準年とし、2020年度▲30%、2050年度▲70%を定め、CO2排出削減に取り組んでいます。

<自然災害の保険引受利益への影響>
自然災害等の影響により「保険引受利益」は、大きく変動する可能性があります。
当社グループは、過去の保険引受利益と自然災害による発生保険金・異常危険準備金の変動額を開示しています。