2015年気候変動枠組条約のパリ協定採択を受け、世界各国の政府は世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求することに合意しました。
そのためには、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林等による)吸収量のバランスを取ることが必要です。温室効果ガス排出量の大幅な削減を前提とした脱炭素社会へ移行することが求められています。地球温暖化の影響と見られる異常気象が頻発しており、気候変動の緩和への対応とともに、既に表れ始めている気候変動への適応が求められています。
MS&ADインシュアランス グループは、保険事業者として自然災害による巨大な集積損害リスクへの対応を進め、自社のリスクマネジメントを高度化しています。また、温室効果ガス排出量を2050年度までにネットゼロにする目標を掲げ、環境負荷低減の取組みを進めています。
更に、保険やコンサルティングの提供を通じて、気候変動による異常気象が企業等の活動に与える影響への対策の提供、脱炭素社会への移行に貢献する商品・サービスの開発を通じ、持続可能な発展を支援し続けていきます。
当社グループは2050年ネットゼロの実現に向け、「MS&ADインシュアランス グループ 環境基本方針」に基づき、グループ独自の環境マネジメントシステム「MS&ADグリーンアースプロジェクト」を通じて、温室効果ガス削減取組みをはじめとした自らの事業活動における環境負荷低減取組を積極的に推進しています。
「地球環境との共生-Planetary Health-」をサステナビリティの重点課題(マテリアリティ)と定め、気候変動に対する様々な取り組みを進めています。
気候変動は社会や産業に著しい影響を与え、企業の業績の大きな変動要因になるため、事業活動における気候変動の影響を企業が情報開示する重要性が増してきています。当社グループは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、このガイドラインに沿って情報を開示していきます。
気候変動の進展を緩和する一方で、こうしたリスクの増大に備えて対策を講じていかなければなりません。当社グループは、大規模災害の損失に係る再保険をはじめ十分な備えで社会に安心・安全を提供していきます。また、自然災害がお客さまにもたらす被害や損失をなくす、又は軽減するための適切なサービスを提供することで気候変動への適応を進め、脱炭素社会の実現につながるニュービジネスを支えていきます。
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パリ協定に沿った事業活動が重要な経営戦略となるなか、お客さまや社会の脱炭素化を支援する保険やサービスの開発、提供に取り組んでいます。
![]() 脱炭素化を支援 |
日本政府は2050年までに、CO2等の温暖化効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル宣言を行い、自治体やさまざまな業種の企業においても対応が求められている 脱炭素に向けた入門セミナーの開催、CO2排出量の算定に向けたサポートやCO2削減に向けた戦略づくりなど、多様な支援メニューを、業種規模を問わずワンストップで提供 |
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![]() 企業の脱炭素化を支援する保険 |
企業向けの火災保険において、被災建物等の復旧時に、新たにCO2排出量削減につながる設備等を採用する際の追加費用を補償する「カーボンニュートラルサポート特約(脱炭素化対策費用補償特約)」を提供 従来の火災保険においては、一般的な工事や設備修理等、元の状態に復旧する費用までを補償していたが、復旧時のCO2排出量削減につながる追加費用を補償する新たな特約を開発。脱炭素社会の実現に向け、企業の脱炭素化の取組みを支援
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![]() 環境に配慮した自動車の |
カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けた取組加速を背景に、業界に先駆けて、地域の移動手段の確保に向けて導入が進む「電磁誘導線を活用した自動運転車(低速EV)向けの割引」や「TOYOTA 超小型EVへの車両保険10%割引」を展開し、低廉な保険料の提供を通じてEVをはじめとする環境配慮に資する電動自動車の普及をサポート
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![]() 再生可能エネルギー事業を |
再生可能エネルギー事業者(太陽光発電、陸上・洋上風力発電、バイオマス発電、中小水力発電など)を取り巻くさまざまなリスク(財物損害、利益損失、賠償責任など)について総合的に補償する各種保険商品を販売すると同時に、リスク評価・コンサルティング等によるリスクマネジメントサービス及びハンドブック等による情報提供を通じ、脱炭素社会への移行に向けて再生可能エネルギーの普及を側面から支援
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![]() 温室効果ガス排出量算出・可視化サービスの提供 |
三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、温室効果ガス排出量の算出・可視化クラウドサービス「zeroboard※1」を、保険代理店組織※2、さらにあいおいニッセイ同和損保は全国の中小企業に無償で提供し、ビジネスパートナーである保険代理店や企業の脱炭素化経営を支援。CO2排出量の算出・可視化を通じて脱炭素経営を支援し、保険代理店やお客さまとともに、バリューチェーンにおける温室効果ガス排出量を削減
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![]() 再生可能エネルギー発電事業者・アグリゲーション事業者向け |
三井住友海上は、天候の変化や発電設備の損壊などにより再生可能エネルギー発電量の実績が発電計画より不足したことによって、再生可能エネルギー発電事業者およびアグリゲーション事業者が負うインバランスリスクを補償する保険商品を開発、リスク状況に応じてオーダーメイドで提供する 2022年6月より販売開始 2022年05月10日 商品・サービス 再生可能エネルギー発電事業者・アグリゲーション事業者向け「インバランスリスク補償保険」の販売開始 |
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![]() 「J-クレジット事業者支援保険(自治体向け)」を販売 |
あいおいニッセイ同和損保は、 カーボン・オフセットの手法の一つとして活用されているJ-クレジット制度において、自治体が主となって実施するプロジェクトに関わるリスクを補償する「 J-クレジット事業者支援保険 (自治体向け)」を販売
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2050年ネットゼロを実現するためには、革新的な技術の社会実装が不可欠ですが、技術的な課題や社会制度の変更など、研究・解決すべき問題は多岐にわたります。ステークホルダーや専門家と連携し研究に積極的に取り組んでいます。
![]() 水素バリューチェーン推進協議会 |
2020年12月に設立された水素バリューチェーン推進協議会に参画。同協会は「サプライチェーン全体を俯瞰し、業界横断的かつオープンな組織として、社会実装プロジェクトの実現を通じ、早期に水素社会を構築する」ことを目的に設立 水素需要拡大にはさまざまな企業が連携し、安価な水素の供給と、水素利用の促進に取り組むことが期待されていることから、参画を通じ水素普及に向けた仕組みづくりへの貢献をめざす
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![]() 洋上風力発電設備の損害予防サービスの事業化研究開始 |
三井住友海上とインターリスク総研は、再生可能エネルギーの主力電源として期待される洋上風力発電の普及支援のため、スタートアップ企業や学術機関等と、設備の故障や異常予兆を検知するアラートサービスの事業化に向け共同研究を2022年4月に開始
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![]() 地域共生型再生可能エネルギー発電事業会社で実証実験 |
三井住友海上は、2022年3月、株式会社まち未来製作所と一般社団法人東松島みらいとし機構等と共同で、地域共生型再生可能エネルギー発電事業会社 ENERUに出資し、今後設置する太陽光発電設備の運営を通じ自然災害リスク削減を目指した実証実験を開始予定 再エネの普及を支える最適な商品・サービスの提供により、地方創生と 脱炭素社会の実現に貢献
「地域共生型再生可能エネルギー発電事業会社」で実証実験を開始
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![]() あいおいニッセイ同和損保と |
あいおいニッセイ同和損保と東京大学は、テレマティクス技術の活用によるカーボンニュートラルの促進に向けた共同研究を2022年4月から本格的に開始
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![]() 「一般社団法人 炭素会計アドバイザー協会」 設立 |
ウェイストボックス社、中部電力ミライズ、豊田通商、日本生命、あいおいニッセイ同和損保の5社は、「一般社団法人炭素会計アドバイザー協会」(以下、本協会)を2022年7月1日に設立。CO2排出量測定算出手法の国内における普及、および民間企業等による排出量の財務情報への正確な反映を目的として本協会を設立し、国内初となる民間資格「炭素会計アドバイザー資格制度」を創設
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保険やコンサルティングの提供を通じて、自然災害がもたらす被害や損失に対する備えや、脱炭素社会に向けたイノベーションに対して積極的にサポートすることにより、経済の活性化と気候変動の緩和と適応に貢献するとともに、環境負荷の低減につながる商品の開発・提供にも取り組んでいます。
![]() 天候デリバティブ |
異常気象や天候不順によって生じるお客さまの財務上の損失を軽減するために、天候デリバティブを販売。例年を上回る(あるいは下回る)降雨、猛暑・冷夏、厳冬・暖冬、日照不足などによる売上減少や費用増大に対して、天候デリバティブの引受けを通じてソリューションを提供
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![]() 農家向け天候インデックス保険 プラットホーム |
お客さまが天候インデックス保険の見積りをオンラインでリアルタイムに実施できる専用プラットホームを、MSI GuaranteedWeather及び豪州InsurTech企業等と協働で開発し、オーストラリアの農家向けに同保険商品の販売を開始 従来型の作物保険では、⼭⽕事や雹だけに限定されることが多いのに対し、当商品は、⼲ばつや⾼温・低温、収穫直前の降⾬などの気象条件をカバーし、⾃然災害多発国で農家の経営安定に貢献 |
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![]() PPA事業者向け近隣被災者への見舞金保険 |
台風等の自然災害により、PPA※事業者が設置・管理する太陽光発電設備が破損し、近隣住民や企業の所有する財物に損壊が生じた場合、賠償責任を負わない場合でも、PPA事業者が支出した見舞金等の費用を補償
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![]() 海外における公的自然災害補償制度への参画 |
2013年に日本政府と世界銀行が協力して設立した「太平洋自然災害リスク評価及び資金援助イニシアティブ保険制度」において、自然災害リスクの引受保険会社の1社として設立当初より継続的に三井住友海上が参画。2020年には三井住友海上が「カリブ海諸国災害リスク保険ファシリティ」に、2021年には三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保が「東南アジア災害リスク保険ファシリティ」に、また、2022年には三井住友海上が「メキシコ自然災害基金プログラム」に新たに参画。保険市場が十分に発達していない国・地域で一定規模の自然災害が発生した場合に、復興資金を迅速に提供 |
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気候変動がもたらすさまざまな影響への対応が求められるなか、気候変動がもたらすリスクを特定し評価することが必要となっています。当社グループは、気候変動リスクの評価・分析に関した取組みを進めています。
![]() 気候変動リスク分析サービス |
企業が把握すべきリスクの対象範囲は、気候変動に起因した洪水、干ばつ等の物理的リスクに加え、エネルギー構造の転換等、社会経済が脱炭素社会に移行するリスク(移行リスク)も包含 このようなリスクを評価・分析し、TCFDの最終提言に沿って、気候ガバナンス体制構築、シナリオ分析、戦略策定などを支援するサービスを提供 また、2020年7月には、米国スタートアップと連携しAIを活用した気候変動影響評価をもとに将来の自然災害リスクを全世界対象に90m四方の精度で定量的に評価するサービスを提供開始。以来、多くの企業にサービスの提供を実施
気候変動リスク分析ベンチャーJupiter IntelligenceとのTCFD向け気候変動影響定量評価サービスを開始
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![]() 「気候変動による洪水頻度変化 予測マップ」の提供 |
![]() MS&ADホールディングスとMS&ADインターリスク総研は、国立大学法人東京大学、芝浦工業大学とともに、「気候変動による洪水リスクの大規模評価(LaRC-Flood®)」プロジェクトに参画し、プロジェクトの一環として「気候変動による洪水頻度変化予測マップ」を公開。また、気候変動と洪水リスクの関係を明らかにすることを目的とし、アジアの大河川を対象に、過去の洪水の発生確率に関する温暖化の影響を広域かつ定量的に評価することに着手 研究プロジェクトにおいて、洪水氾濫域の増減傾向を衛星画像から検出する手法を開発し、イベントアトリビューションで、地球温暖化による洪水発生への影響を確認。この研究を発展させる形で、2021年度からは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援も受け、より高度な洪水リスク研究に取り組み、産業界での活用までを視野に入れた高精度の広域洪水リスク情報の創出とその実用化に向けた研究を加速
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CDP(旧名称:カーボンディスクロージャープロジェクト)は、企業の気候変動対策に関する世界最大のデータベースを持った独立非営利団体で、世界中の企業等団体が CDPを通じて温室効果ガスの排出量や気候変動に対する対策を公開しています。MS&ADインシュアランス グループは、この取組みに賛同し、継続的に報告しています。