気候変動の進展により世界的に自然災害が増加・大型化し、これまでに経験したことのない巨大な災害が発生する可能性が高まっています。こうした大災害の発生は言うに及ばず、緩やかに進む気象の変化でさえも、事業活動や日々の生活を不安定化させ、物理的にも経済的にも損失をもたらします。気候変動による自然災害は地球全体が共有する巨大リスクであり、そこに密接に関わる保険にとっては、支払保険金の増大によるグローバルな保険システムの劣化も懸念されます。

気候変動を止めることはできませんが、こうしたリスクの増大に備えて対策を講じていかなければなりません。MS&ADインシュアランス グループは、大規模災害の損失にかかる再保険をはじめ十分な備えで社会に安心・安全を提供してまいります。また、気候変動による気象災害がお客さまにもたらす被害や損失をなくす、または軽減するための適切なサービスを提供することで気候変動への適応を進めると同時に、保険やコンサルティングによって気候変動の緩和につながるニュービジネスを支えてまいります。

関連する主なSDGsとターゲット

現代的エネルギーサービスの普及推進と気候変動とその影響に立ち向かうために、気候変動への適応策・緩和策を保険商品やリスクコンサルティングを通じ提供していきます。

すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネ ルギーへのアクセスを確保する

7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。

都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする

11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対するレジリエンスを目指す総合的政策および計画を導入・実施した都市および人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。

気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

13.1 すべての国々において、気候変動に起因する危険や自然災害に対するレジリエンスおよび適応力を強化する。

MS&ADの事業

気候変動リスクの評価・分析

 

TCFD最終提言への賛同

リスクマネジメント策の提供

 

自然災害の防止に向けたリスクマネジメント

商品・サービスの提供

 

再生可能エネルギー事業への支援

 

天候デリバティブ

気候変動リスクの評価・分析に関した取り組み

気候変動によって懸念される新たなリスクへの対応が求められる中、気候変動リスクについての評価・分析などが重要となっています。FSB(金融安定理事会)が設立した気候関連財務情報開示タスクフォース「TCFD(Task force on Climate-related Financial Disclosure)」が、企業に気候変動が財務に与える影響を分析して開示するよう求めたことも気候変動リスクの影響の大きさが増していることが理由にあります。MS&ADインシュアランス グループは、このような状況を踏まえ、従来取り組んできた気候変動リスクの評価・分析に関した取り組みをさらに加速させています。

気候変動とSDGsをテーマとしたシンポジウムの開催

シンポジウムの様子
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シンポジウムの様子

気候変動や自然災害は持続可能な社会を実現するSDGsでも解決が強く望まれる課題となっています。MS&ADインシュアランス グループは、2018年5月に気候変動をテーマにしたシンポジウム「気候変動をテーマにSDGsへの次の一歩を考える」を開催し、有識者や専門家をはじめとし、ステークホルダーの皆さまとSDGsをめぐる最新の動向や各国・企業の取り組みについて講演による情報共有やパネルディスカッションを通じた意見交換を行いました。

シンポジウムを通じ、MS&ADインターリスク総研が新たに提供を開始したESG関連リスクや気候変動リスク等を含むビジネスリスク分析の各種ツールも紹介しました。

また、地方創生と防災・減災の相乗効果を追求するための取り組みや芝浦工業大学および東京大学との共同で開始した気候変動による洪水リスクの評価をグローバルで行うプロジェクトの一環として提供している洪水頻度変化予測マップについても発表しています。MS&ADインシュアランス グループは気候変動への取り組みに今後も力を入れてまいります。

気候関連財務情報開示タスクフォース「TCFD」最終提言への賛同

MS&ADインシュアランスグループは、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が2017年6月に発表した気候情報開示ガイドラインへの賛同を表明しました。また、UNEP FIの呼びかけにより行われるTCFD提言に沿った保険会社の開示方法を研究するパイロットプロジェクトに参加し、世界の保険会社とともに、標準的な保険会社のシナリオ分析手法を研究し、適切な開示を検討しています。

気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)への署名

MS&ADインシュアランスグループは、「気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)」に創設メンバーとして参画しました。「気候変動イニシアティブ」は、気候変動に取り組む日本の非国家アクターを包括的にネットワーク化するものであり、日本の多様な活動を活性化し世界に発信していくこととしています。

当社では2018年度より中期経営計画「Vision 2021」を掲げ、社会的課題の解決をビジネスモデルに組み込み、社会と共に価値を創造することで持続的な成長を実現する企業のあり方を提示しました。特に「気候変動」はグループ全体として長年取り組んできた課題の一つであり、豊富なデータと緻密な分析にもとづいた多様なソリューションを提供してきており、本イニシアティブにおいても参加メンバーと連携しながら積極的に活動していきます。

「企業のためのESG投資対応パッケージ」の提供

MS&ADインターリスク総研は、2017年11月より、「企業のためのESG投資対応パッケージ」を提供しています。

世界では既にESGに配慮した投資が主流化していますが、日本においても金融庁が2014年に「スチュワードシップ・コード」を策定し、金融機関に対して投資先のESGに起因するリスクと機会を把握して、議決権行使や投資先企業との対話を行うよう促したことや、2015年に日本の厚生年金・国民年金の運用を行うGPIFが「ESG投資」へのシフトを鮮明にしたことを契機として、急速にESG投資が主流化しつつあります。そのため企業は、ESG戦略を立案してその取り組みを強化し、かつ投資家に対して、自社のリスク・機会情報を開示するなどの対応が求められています。

ESG投資の主流化の動きとも連動して、金融安定理事会は、2017年6月末、気候関連に起因するリスク・機会を財務情報として開示することを企業に促す気候関連財務情報開示作業部会(TCFD)の最終報告書を公表しました。このような状況を踏まえ、主にグローバルに事業を展開する企業向けにESGに関する全般/個別課題への提案パッケージを提供しています。

東京大学と芝浦工業大学との気候変動研究プロジェクトを開始

MS&ADインシュアランス グループとMS&ADインターリスク総研は、国立大学法人東京大学、芝浦工業大学とともに、「気候変動による洪水リスクの大規模評価(LaRC-Flood™)」プロジェクトに参画し、プロジェクトの一環として「気候変動による洪水頻度変化予測マップ」を公開しています。また、気候変動と洪水リスクの関係を明らかにすることを目的とし、アジアの大河川を対象に、過去の洪水の発生確率に関する温暖化の影響を広域かつ定量的に評価することに着手しています。

今後、気候変動がさらに進行することにより、世界的に洪水リスクが高まり、企業経営にも大きな影響を及ぼす可能性があります。MS&ADインシュアランスグループでは、保険会社として自然災害への対応と防災減災への取組を推進します。特に、気候変動は、長年グループ全体で取り組んできた課題であり、目指す社会像の実現に向けて、産官学連携を通じた社会的課題への解決に注力しています。

 

マップイメージ
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マップイメージ

リスク評価とリスクマネジメント策の提供

自然災害をはじめ、万一発生した際に被るリスクをあらかじめ予測し、有事に備えることは大きな意味を持ちます。MS&ADインシュアランス グループでは、これまで培ったノウハウや多くの保有データをもとに、事業会社にてさまざまなリスクマネジメントサービスを提供し、防災・減災を支援しています。

自然災害の防止に向けたリスクマネジメント

地球温暖化に伴う気候変動の影響により世界的に自然災害が頻発するようになっており、その被害が甚大化しています。MS&ADインシュアランス グループでは、MS&ADインターリスク総研で開発した自然災害リスクモデル等を活用し、詳細なリスク分析や調査にもとづいたリスク低減のための対策提案を行っています。

洪水被害を予測するリスク評価システム

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、2017年5月に、MS&ADインターリスク総研および米国の大手自然災害リスク評価専門会社と協働で、洪水による被害を予測する新リスク評価システム(以下、新洪水モデル)を開発しました。新洪水モデルでは、台風による洪水被害だけでなく、台風以外の梅雨前線や集中豪雨等による洪水被害も予測できます。また、河川の氾濫による洪水被害に加えて、雨水が排水されずに地表にあふれる都市型の洪水被害の予測や、台風による風災と水災(洪水・高潮)の被害を統合した予測も可能です。MS&ADインシュアランス グループは、今後も、被害予測モデルの活用を通じて、自然災害分野におけるリスク管理の高度化とコンサルティングサービスの強化を図ります。

水災対策コンサルティングサービス

MS&ADインターリスク総研は、水災対策サポートサービスを提供しています。河川氾濫・内水氾濫・高潮を対象に、ハザードマップ等の公的資料や現地調査を踏まえた浸水シミュレーションを行い、想定される浸水深や時間、損害の程度を分析します。さらに分析結果にもとづいたソフト・ハード両面の対策提案を行うことにより企業の水害リスク低減とBCM(事業継続マネジメント)策定・向上を支援します。

 

分析結果のサンプル
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分析結果のサンプル

津波モデルを使ったコンサルティングサービス

津波モデルのイメージ
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津波モデルのイメージ

三井住友海上とMS&ADインターリスク総研は、米国大手自然災害リスク評価専門会社と協働で開発した、津波による被害を予測する「津波モデル」を用いて、従来の「地震リスク分析」に「津波による被害」を加えたコンサルティングを提供しています。国内保険会社では初となる、津波リスクの「確率分析※1」による被害想定結果を利用することで、従来の「シナリオ分析※2」では難しかった、お客さまごとのご要望に合わせた「再現期間における想定被害額(200年に一度の想定被害額等)」の提示や、「複数拠点における対策の優先順位」を提案することが可能となっています。

(※1)想定されるすべての地震に対して対象物件の被害想定額を算出し、得られた結果を集約して確率統計的に処理する分析をいいます。再現期間ごとの推定損害額(超過損害額曲線:EP カーブ)により、確率にもとづいたリスク量をイメージしていただくことができます。

 

(※2)具体的な活断層やトラフ等で発生した地震を想定し、対象物件の被害想定額を算出する分析をいいます。南海トラフの連動型地震や大正型関東地震等「特定の地震が起こったらどの程度の被害になるか」をイメージしていただくことができます。

気象情報アラートサービス

【気象情報アラートサービストップ画面】
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【気象情報アラートサービストップ画面】

三井住友海上は、株式会社ウェザーニューズと提携し、工事保険(建築オールイン、土木オールイン)と企業向け火災保険(プロパティ・マスター、ビジネスキーパー)または運送保険(フルライン、サポートワン)をご契約のお客さまを対象に、損保業界初となる「気象情報アラートサービス」を提供しています。
本サービスは、お客さまが専用サイト上で設定した監視地点(最大5地点)において、「降水量」、「風速」および「降雪量」の予報が基準値※を超える場合や、監視地点から基準値※以内の地点で「落雷」を観測した場合に、アラートメールを配信するものです。



(※)お客さまが「注意」、「警戒」の2段階であらかじめ設定。なお、「落雷」については監視地点から落雷地点までの距離。気象情報の提供を通じて自然災害による被害の防止・軽減に寄与し、企業のお客さまの事業活動を支援していきます。

気候変動への緩和と適応を支援する商品・サービスの提要

気候変動の緩和につながる商品・サービスの提供

深刻化する気候変動の問題解決に向けた新しいビジネスが数多く生まれています。保険やコンサルティングの提供を通じて、こうしたビジネスの成長を積極的にサポートすることにより、経済の活性化と気候変動の緩和に貢献します。また、環境負荷の削減につながる商品の開発・提供にも取り組んでいます。

再生可能エネルギー事業を支援する商品

再生可能エネルギー事業者を取り巻くさまざまなリスク(財物損害、利益損失、賠償責任など)について総合的に補償する各種保険商品を販売すると同時に、リスク評価・コンサルニーズに対応した各種サービス・情報提供により、再生可能エネルギーの普及を側面から支援しています。

太陽光発電

  • メガソーラー総合補償プラン
  • 太陽光発電事業 事故リスクハンドブック、メガソーラー施設 地震・津波リスク分析・日照評価、メガソーラー施設 ハザード情報調査、太陽光発電 総合リスクマネジメント、太陽光発電設備メンテナンスリスク診断サービス、太陽光発電設備・メンテナンスに関するハンドブック

風力発電

  • 小形風力発電総合補償プラン
  • 風力発電設備 事故リスク評価のためのハンドブック、風力発電施設のリスク調査報告書作成サービス、小形風力発電設備に関するハンドブック、風力発電 総合リスクマネジメント

バイオマス発電

  • バイオマス発電総合補償プラン
  • バイオマス発電設備に関するハンドブック、木質バイオマス発電事業リスク診断サービス

中小水力発電

  • 中小水力発電総合補償プラン
  • 中小水力発電 総合リスクマネジメント

風力発電施設のリスク調査報告書作成サービスを開始

三井住友海上とMS&ADインターリスク総研は、「風力発電設備のリスク調査報告書作成サービス」を提供しています。本サービスは、風力発電事業者のお客さまを対象に、立地や設備等の各種条件にもとづいて事業全般に関わるリスクを総合的に評価し、報告書として提供するものです。風力発電は他の再生可能エネルギーと比較して発電コストが低く、経済性を確保できるエネルギー源である一方、立地や設備設計、メンテナンスの状況等によっては稼働率が低下したり、事故が発生する恐れがあることから、これらのリスクへの対策を促すとともに、お客さまの安定的な事業運営を支援することを目的としています。

「洋上風力発電設備 事故・故障リスクに関するハンドブック」を発行

三井住友海上とMS&ADインターリスク総研は 、「洋上風力発電設備 事故・故障リスクに関するハンドブック」を発行しています。再生可能エネルギーの発展に寄与するとされる洋上風力発電について、その事故・故障リスクを適切に把握するための情報提供を目的としています。洋上風力発電は、陸上風力発電に比べて利用可能な風力エネルギーが豊富で、立地の制約が少なく大規模化できるなどのメリットがあり、国土が海に囲まれた日本では有力な再生可能エネルギー源として期待されています。

「太陽光発電事業 事故リスクハンドブック」を発行

三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、MS&ADインターリスク総研は、太陽光発電事業の安定的な運営を支援するために、3社による共同開発ツール「太陽光発電事業 事故リスクハンドブック」を発行しています。太陽光発電事業はここ数年で急激に拡大しましたが、それに伴って、自然災害等による事故リスクも顕在化しています。本ハンドブックを通じて、こうした事故リスクを適切に評価するための情報を提供しています。

気候変動への適応

気候変動による異常気象は、企業等の活動にさまざまな被害や損失を与えますが、その被害や損失を軽減する方策の提供により、気候変動下におけるビジネスの持続可能な発展を支援することができます。気候変動の進行が避けられない今、気候変動への適応策がビジネス成功への大きなカギとなります。

天候デリバティブ

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保では、天候不順によって生じるお客さまの財務上の損失を軽減するために、天候デリバティブを販売しています。例年を上回る(あるいは下回る)降雨、猛暑・冷夏、厳冬・暖冬などによる売上減少や費用増大、太陽光発電などの再生可能エネルギー事業における日照不足による発電不足を、天候デリバティブの引き受けを通じてサポートしています。

フード&アグリビジネス総合補償プラン

農業分野や畜産分野においては、日照不足、異常低温、異常高温、降水量不足などの天候不順が、原材料となる農作物の不作や畜産物の生産量減少を招き、その結果、市場価格が高騰するといった、天候不順リスクがあります。
三井住友海上が販売している「フード&アグリビジネス総合補償プラン」はこの天候不順リスクに対応し、対象となる農作物や畜産物の収穫高・生産高に影響を与える天候指標にもとづく天候デリバティブ商品を提供しています。

太平洋自然災害リスク評価および資金援助イニシアティブ保険制度

三井住友海上は、日本政府と世界銀行が協力して設立した「太平洋自然災害リスク評価および資金援助イニシアティブ保険制度」において、自然災害リスクの引受再保険会社の1社を務めています。本制度は保険市場が十分に発達していない太平洋島嶼(とうしょ)国(サモア、トンガ、マーシャル諸島、バヌアツ、クック諸島)で一定規模の自然災害(サイクロンおよび地震・津波)が発生した場合に、被災した国・地域へ迅速に復興資金を提供することを目的としたものです。三井住友海上は、本制度への参画を通じて、太平洋地域における自然災害に対する取り組みを支援し、同地域への社会的貢献を果たしていきます。

 

【本制度のスキーム】

本制度運営の中核となる保険会社Pacific Catastrophe Risk Insurance Company(以下、PCRIC)との再保険契約を通して、太平洋島嶼国に一定規模の自然災害が発生した場合に復興資金を提供します。

※災害の指標(サイクロンにおける風速等)をもとに、所定のリスク計量モデルによる予想損害額を基準に支払いがなされる。損害査定が不要であることから、迅速な支払いが可能。

Flood Reへの参画による洪水再保険制度への支援

MS Amlinは、2017年2月より、イギリス政府とイギリス保険協会(Association of British Insurers, ABI)が設立した洪水再保険制度「Flood Re」に参画しています。Flood Reは個人向け洪水保険の再保険基金で、保険業界によって運営および管理されています。洪水リスクの高い世帯に洪水による災害への備えを広く提供する支援を行っています。