めざす姿

「MS&ADインシュアランス グループ 人権基本方針」は、当社グループのみならず、サービスの調達等に関わるサプライヤーや、代理店等のビジネスパートナー等、広く当社グループのバリューチェーンを対象としています。当社グループはこれらの関係者に対して、事業活動において人権への負の影響が発生することを防止、軽減するように働きかけを行っています。
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に依拠し、人権尊重のマネジメントシステムである人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築・実施し、人権侵害のないバリューチェーン、社内環境を整備することで企業価値向上をめざします。

人権基本方針

当社グループは2017年2月より、「MS&ADインシュアランス グループ 人権基本方針」を定め、人権尊重の企業責任を果たしています。 

MS&ADインシュアランス グループ 人権基本方針

 

MS&ADインシュアランスグループは、経営理念の実現に向け、あらゆる事業活動において環境や人権を含む社会との相互影響を考慮し行動することを通じて、企業価値の向上を図るとともに、持続可能で強くしなやかな社会づくりに貢献します。
バリューチェーンも含めた私たちの事業活動が人権に及ぼす顕在的・潜在的な負の影響に責任があることを認識し、人権を尊重した活動と対話を実践します。その態勢を構築するため、本基本方針を定めます。 

1. 基本的な考え方

 

(1)人権尊重に関連した法令や規範の遵守

①当社グループは、国連「国際人権章典」※1、国連グローバル・コンパクトにおける「企業行動規範」※2、および国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関する宣言」※3等、人権に関する国際規範を尊重します。
②事業活動を行う国・地域における法令や規制を遵守するとともに、当該国・地域の法令等が国際的に認められた人権の原則と相反する場合は、当該国・地域の事情も勘案しつつ、国際的な人権の原則を尊重します。
 

(2)差別の禁止

あらゆる事業活動において、基本的人権を尊重し、人種、国籍、性別、年齢、出身、世系(門地)、社会的身分、信条、宗教、身体的特徴、障がいの有無、性的指向、性自認、妊娠などによる差別を行いません。
 

(3)人権を尊重する企業風土

①行動指針に定める「お互いの個性と意見を尊重し、知識とアイデアを共有して、ともに成長する」を実践し、人権を尊重する企業風土を醸成します。
②多様な価値観を尊重し、社員一人ひとりの心身の健康や安全に配慮した働きやすい職場環境づくりに取り組みます。

2. 人権尊重のマネジメントシステム(人権デュー・ディリジェンス)

国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に依拠し、人権尊重のマネジメントシステム(人権デュー・ディリジェンス)の仕組みを構築し、対話・協議ならびに報告を行います。

 

(1)評価・防止

顕在的・潜在的な人権リスクを識別、評価し、未然に防止・軽減する対策を、優先順位をつけて講じます。

 

(2)救済・是正・対話

当社グループが事業活動において人権に対する負の影響を引き起こした場合、適切な手続きを通じてその救済や是正を行い、再発防止に取り組みます。また、バリューチェーンを通じてこれに関与したことが明らかになった場合、誠意をもって対話を行います。

 

(3)教育・研修

あらゆる機会を通じて、人権に関するグローバルな課題や国・地域の課題と事業活動との関わりについて、役職員が理解を深め人権を尊重するよう、幅広い人権啓発に取り組みます。

3. グローバルな保険・金融サービス事業者としての責任

 

(1)プライバシーの保護

個人情報の重要性に鑑み、当社の定める「お客さま情報管理基本方針」に則り、個人情報の保護を実践し、プライバシーを含めた人権に対して負の影響を及ぼさないよう努めます。

 

(2)事業プロセスへの反映

「持続可能な保険原則(PSI)」、「責任投資原則(PRI)」の署名機関として、保険引受や投融資判断等のプロセスにおいて、人権を尊重する当社グループの責任を果たすべく、環境・社会・ガバナンス面の課題(ESG)を考慮します。

(※1)「世界人権宣言」と、「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)及び「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)の総称。

(※2)人権・労働・環境・腐敗防止に関する10原則。人権と労働分野には①人権擁護の支持と尊重②人権侵害への非加担③結社の自由と団体交渉権の承認④強制労働の排除⑤児童労働の実効的な廃止⑥雇用と職業の差別撤廃が定められている。

(※3)結社の自由・団体交渉権の承認、強制労働の禁止、児童労働の禁止、差別の撤廃、安全で健康な労働環境の5分野にわたる労働に関する最低限の基準を定めたもの。

代表取締役社長

人権デュー・ディリジェンスと是正措置

国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に依拠し、人権尊重のマネジメントシステムである人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、これを継続的に実施します。2017年2月に制定した人権基本方針に沿い、次のとおり人権デュー・ディリジェンスを実施します。
当社グループでは、人権デュー・ディリジェンスの一環として、STEP3までのプロセスに従い、お客さまや当社グループ社員の個人情報の漏えいによるプライバシーの侵害、社員の顕在的・潜在的な人権リスクを識別・評価しました。この結果、

「① 公平・公正なお客さま対応

 ② 引受・投融資先、外部委託先における人権対応の考慮、

 ③ 社員の健康への配慮と差別のない職場環境」

を重点課題としました。
人権リスクの識別・評価は、3年に一度定期的に見直し、当社グループとバリューチェーンを取り巻く社会や環境の変化に応じた重点課題を判断しています。
定期的な見直しでは、Fragile States Indexで人権リスクの高い国・地域を確認しています。ミャンマーでの事業展開においては、出資先のデュー・ディリジェンス等を行い、人権に関する問題はないことを確認しています。

STEP1: 当社グループのバリューチェーンとステークホルダーから人権リスクの発生する接点を整理
[バリューチェーン]
(1) 商品・サービスの提供:商品開発・販売(含む保険料回収)、リスクコンサルティング、
  保険金支払(含む事故調査関係者)
(2) 経営プロセス:資産管理(含む投融資) 、情報管理、調達(資材・不動産)、人事・採用

[ステークホルダー]
お客さま、株主、取引先、代理店、社員、地域社会・国際社会、環境

[人権課題]
(1)差別(採用・雇用、労働条件) (2) 労働安全衛生 (3) 過剰・不当な労働時間
(4) ハラスメント (5) 結社の自由 (6) 差別(思想・宗教・表現の自由)
(7) 名誉棄損・プライバシーの侵害 (8) 消費者の安全と知る権利 (9) 外国人労働者の権利 (10) 強制労働
(11) 児童労働 (12) 先住民族・地域住民の権利 (13) 紛争・非人道的行為への加担 (14)その他
STEP2: 洗い出したリスクを、①深刻度※1と②発生可能性から評価・分析(リスクマップの作成※2)
(※1)影響する規模、範囲及び是正困難性から評価
STEP3: リスクマップの結果判明した顕著なリスクをステークホルダーごとに整理し、重点課題として決定
[重点課題]
(1) 公平・公正なお客さま対応
(2) 引受・投融資先、外部委託先における人権対応の考慮
(3) 社員の健康への配慮と差別のない職場環境
STEP4: 必要な予防・改善措置の検討・実施、効果のレビュー

人権アセスメントと是正措置

人権デュー・ディリジェンスの中で人権リスク評価を行い、重点課題とした3つの項目について、定期的なモニタリングを行い、リスク低減の対策を実施しています。

公平・公正なお客さま対応

■人権に関する理解の促進と意識の醸成
・社員を対象に人権啓発研修を実施
■お客さま第一の業務運営の徹底
「お客さま第一の業務運営」の方針に沿った取組みの実施
■高齢者・障がい者への配慮
・ユニバーサルデザインの採用
・高齢者向け専用ダイヤルの設置や対応マニュアルの整備
・手話通訳サービスを導入
■お客さま情報管理の徹底
・情報リテラシー向上のための情報管理研修実施、標的型攻撃メール訓練の実施
・保険代理店、外部委託先及び社員に対して定期的な点検・監査を実施

情報セキュリティ

外部委託管理基本方針

引受・投融資先、外部委託先

における人権対応の考慮

■引受・投融資先
「サステナビリティを考慮した事業活動」グループポリシーを策定し、ESG要素を考慮した事業活動を実施
■外部委託先・代理店
・人権に関する相談窓口を設置
・代理店への人権啓発研修を実施
・人権課題への取組状況や認識度合いの調査を実施
・情報管理点検・監査、是正策を実施

社員の健康への配慮と

差別のない職場環境

■健康経営の推進
・長時間労働者への産業医面談、メンタル不調への対策強化(予防に資する啓発活動、復帰プログラムの活用)、柔軟な勤務運営の活用、健康診断受診促進
■ハラスメントへの対策
・社員の健康と安全について、勤務時間のシステム上の管理に加え、働き方改革をグループを挙げて推進
・スピークアップ制度(内部通報制度)や相談窓口を設置。通報制度の周知、窓口への相談しやすい環境を整備

スピークアップ制度

■LGBTQに関する理解促進

・社員を対象にLGBTQに関する理解促進のセミナーを実施

人権尊重の主な取組み

サステナビリティを

考慮する事業活動

2020年9月に「サステナビリティを考慮した事業活動」グループポリシーを策定し、ESG要素を考慮した事業活動を行っている。保険引受および投融資において、人権尊重も考慮している。2022年7月に、広範囲の人々の無差別殺傷につながるクラスター弾製造企業に加え、生物・化学兵器や無差別殺傷につながる対人地雷といった非人道的兵器製造企業に係る保険引受及び投融資は行わないことを定め、グローバルにそのガイドラインに沿った保険引受と投融資を行っている。また、先住民族・地域住民の人権侵害を及ぼす可能性がある事業については、取引先の地域社会への配慮状況等を踏まえ慎重に取引の可否を判断します。年1回引受状況を確認し、方針に沿った内容であるかを確認し、必要に応じて引受停止を行うなど、改善・是正を行っている

人権啓発体制

MS&ADホールディングスの総合企画部・サステナビリティ推進室が中心となり、海外コンプライアンスを担当する部門や、事業会社の人権啓発を担当する部門と連携し、国内外での人権尊重の取組みを推進。事業会社は、人権啓発担当役員以上を長とする組織を中心に、人権と企業の社会的責任についてさらに認識を深め、社内での人権文化の醸成と定着を図り、社員の人権尊重の意識を向上
<主な取組み>
・全社員職場研修の企画・立案から運営・実施管理
・人権啓発体制に関わる社員への役割等の意識付け

ESGデータ・資料(人権)

個人情報保護

「MS&ADインシュアランス グループ お客さま情報管理基本方針」に基づき、グループ各社において情報管理に関する社内規定の策定、セキュリティ対策の導入、社員・代理店教育などを実施。管理態勢について検証するため、保険代理店、外部委託先及び社員に対して定期的な点検・監査を実施。発見された問題点について、速やかに是正策を実施

<2021年度点検・監査実績>
・当社及びグループ国内保険会社における社内点検
・代理店・外部委託先(約33,000社)に対する点検・監査を実施、418社に対してセキュリティ等に関する強化を指導
 
情報セキュリティ
外部委託管理基本方針

サプライチェーンでの対応

(外国人技能実習生)

昨今では、外国人技能実習生・留学生の低賃金・劣悪な労働環境など、さまざまな問題が国内で生じていることから、当社グループ内の関連する担当部門にヒアリングを実施。顕在化した問題事例は確認されませんでしたが、引き続き本件についてフォローを行っていく予定。また、定期的に第三者による労働環境・条件の監査をおこなっており、適切な労働環境を維持している

相談窓口

万が一の人権侵害に関する声を受け止め、適切な救済対応につながる体制を整えています。

お客さまからの相談窓口

お客さまからいただく「相談」「要望」「苦情」などのさまざまな声を広く受け止め、品質向上に活かすことを定めている

お客さまの声をお聴きする仕組み

社員等からの通報・相談制度
(スピークアップ制度)

法令違反・社内規定違反・不適切な行為があった場合に、その事実を会社として速やかに認識し、必要な対策を講じることにより、違法行為等の放置・拡大を防止するために、社員等が直接通報・相談することができる社内外の相談窓口(スピークアップデスク)を設け、当社グループの倫理・法令遵守を推進

<主な通報・相談対象>
・コンプライアンスに関する事項
・セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、その他のハラスメントによる社員の精神・肉体・健康などに関する事項
・労働時間、時間外労働等の職場環境に関する事項

社外の法律事務所にも受付窓口を設け、通報・相談者が利用しやすいよう配慮。加えて、通報・相談者の秘密保持や情報の取扱いに十分に注意し、通報・相談者が不利益な取扱いを受けることのないよう、通報・相談者の保護の取組みも実施

 

スピークアップ制度 実績

ハラスメント相談窓口

専用の相談窓口を設け、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティーハラスメントなどについて、被害を受けた社員が安心して相談できるように対応。迅速な調査による事実確認に基づき、必要と認められた場合には社内規定に則り、適正に是正や処分等を実施。予防についても、全社員職場研修や階層別研修、eラーニングによる研修等でハラスメント防止への取組みを実施

健全な労使関係の促進

会社と各労働組合が、お互いにその立場を尊重し、ともに協約を誠実に遵守して、会社の民主的で健全な発展と社員の労働条件の維持改善及びその地位の向上を図るために努力することを約束しています。
この協約に基づき、賃金や人事制度と運用等について、交渉・協議を行っています。


ESGデータ・資料(労働組合加入率)