私たちの暮らしや経済活動は、生物多様性から提供される自然の恵み(生態系サービス)によって成り立っています。また、自然の恵みというフローは、自然資本というストックに下支えされています。自然資本の持続可能性に配慮したビジネスモデルは、企業を含む社会全体の持続可能性を支えます。SDGsの17個のゴールは、自然資本や安定した気候システム等、私たちの地球環境に関わる4つのゴールがベースに初めて達成するゴールと言えます。MS&ADインシュアランス グループは、自然資本と事業活動との持続可能な関係構築を目指し、その保全や活用に向けて取り組んでいきます。

関連する主なSDGsとターゲット

SDGsのゴールは地球環境に関わる4つのゴール(目標6:水の保全、目標13: 気候変動の緩和と適応、目標14:海の生態系、目標15:陸の生態系)がベースとなっています。自然資本と事業活動の調和に向け、国際協力をはじめ様々な取組を行っていきます。

すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する

6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。

海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する

14.2 2020年までに、海洋および沿岸の生態系のレジリエンス強化や回復取り組みなどを通じた持続的な管理と保護を行い、大きな悪影響を回避し、健全で生産的な海洋を実現する。

陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る

15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地、および乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系およびそれらのサービスの保全、回復、および持続可能な利用を確保する。

15.4 2030年までに生物多様性を含む山地生態系の保全を確保し、持続可能な開発にとって不可欠な便益をもたらす能力を強化する。

MS&ADの事業

自然環境の価値の評価

 

自然資本影響の評価サービス

事業活動における持続可能な資源利用

 

環境効率の向上、持続可能な資源利用

生物多様性の保全

 

イニシアティブへの参画

 

生物多様性保全への活動

自然資本に関わるリスクと機会の評価

自然資本評価サービス

海外でのプロジェクト事業や、グローバルなサプライチェーンにもとづくビジネスが、自然資本に大きな損失を与える可能性がある場合、当該事業・ビジネスは大きなリスクを抱えることになります。自然資本への影響が大きなリスクとなる可能性があります。国内外のプロジェクト開発における自然資本への影響を机上で定量評価します。

自社の海外拠点やプロジェクト開発を対象に、周辺の自然資本の価値について把握し、事業判断につなげる、自社のサプライチェーンを通じて、どの地域でどのような自然資本への影響を与えているかを把握するといった具体的なリスク評価や、事業全体の自然資本への関わりを表す「自然資本会計」への対応をサポートします。

水リスク簡易評価サービスの提供

気候変動、途上国の人口増、発展等により水資源が枯渇する地域が世界的に増えており、企業の操業まで脅かす事例もあります。それを背景に、企業が自らの水リスクを把握し、開示するよう要求する社会的圧力が強まっています。日本企業でも大手メーカーが自社のサプライヤーに水リスクの把握と開示を求めたり、投資家が水リスク情報の開示を求めるなどの動きが広まっています。MS&ADインターリスク総研では、企業の国内外の拠点について水リスク(水枯渇、水災その他)を評価するサービスを行っています。

自然資本の持続可能性に配慮した経営

さまざまなビジネスにおける持続可能な資源および土地の利用は、地球環境の持続可能性を高めるとともに、その企業における持続可能な成長も可能にします。MS&ADインターリスク総研は、環境効率や持続可能な資源の利用を支援するための各種リスクコンサルティングサービスを提供しています。MS&ADインシュアランス グループは、持続可能な資源の利用方法の支援や地域の環境に配慮した土地利用を通じて、自然資本の保全とお客さまの成長に貢献します。

環境サプライチェーンコンサルティング

製造業にとって、持続可能な原材料調達網を確立することは、環境に悪影響をもたらすことによる社会的な批判をかわすこと以上に、ビジネスの持続可能性を担保するための重要な経営課題です。環境への影響が特に大きいと想定される原材料を特定し、優先課題を選定の上、対応方法の検討およびサプライチェーンマネジメントの策定を支援します。

生物多様性土地利用コンサルティング

開発事業に際して、地域の生物多様性に配慮して周辺環境を活かすことは、社会的責任の履行よりも、当該開発案件の魅力を向上させるための重要な視座です。計画的に生物多様性を高めるための方法を提案します。

事業所、マンションなど緑地を保有する土地の利用方法についての調査・分析から、それに基づく整備・活動計画の策定までの、総合的なサポートをご提供しています。

生物多様性の保全

私たちの暮らしや経済活動は、生物多様性から提供される自然の恵み(生態系サービス)によって成り立っています。生物多様性に配慮したビジネスモデルは、企業を含む社会全体の持続可能性を支えます。MS&ADインシュアランス グループでは、環境方針(MS&ADインシュアランス グループ環境基本方針)の主要課題の一つ に「生物多様性の保全」を掲げ、取り組みを推進しています。

自然資本宣言への署名

MS&ADインシュアランス グループは、2016年7月に、自然資本宣言に署名しました。

研究・啓発活動

生物多様性保全のために企業として行うべきことを研究し、生物多様性保全の重要性を広く社会に発信しています。

企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)

三井住友海上では、生物多様性の保全と生物資源の持続的な利用について、企業が集まり共同研究する「一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」の設立(2008年4月)以来、会長会社として活動をサポートしています。JBIBは、国内企業の環境に関する取り組みの参考となるよう、生物多様性に配慮した土地利用のためのガイドラインや生物多様性に配慮した原材料調達のガイド等を作成し、その研究成果を公表しています。JBIBの活動は、「生物多様性国家戦略2012-2020」の中でも取り上げられ、国が今後連携・協力を進める団体の一つとして、高く評価されています。2016年12月にメキシコで開催された生物多様性条約第13回締約国会議(COP13)に参加し、「メキシコ企業と生物多様性アライアンス」と情報交換を行う等生物多様性の取り組みに関するJBIBのプレゼンスアップを図りました。2018年9月には、企業における生物多様性主流化のためのツールやガイドラインの開発が評価され、第5回生物多様性アワード(イオン環境財団主催)の優秀賞を受賞しました。

ビジネスフォーラムでのカンクン・企業と<br/>生物多様性誓約署名セレモニー
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ビジネスフォーラムでのカンクン・企業と
生物多様性誓約署名セレモニー
「メキシコ企業と生物多様性アライアンス」<br/>との打ち合わせの様子
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「メキシコ企業と生物多様性アライアンス」
との打ち合わせの様子
JBIBロゴ
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JBIBロゴ

企業が語るいきものがたり

三井住友海上では、2007年より企業が生物多様性の保全の取り組みを行うための啓発活動として、企業の担当者向けに生物多様性シンポジウム「企業が語るいきものがたり」を開催しています。2018年2月に環境省、東京都、千代田区、経団連自然保護協議会の後援およびJBIB、MS&ADインターリスク総研の特別協力を受け、シンポジウムを開催しました。

第11回となった今回は、愛知目標※1のターゲットイヤーである2020年が間近に迫っていますが、一方で、2030年をターゲットにしたSDGs※2との関係に関する議論が進んでいます。そこで今回は、ポスト愛知目標のあるべき姿について考えるとともに、SDGsと関連させた3つのテーマ「持続可能な水産資源の推進に向けて」「SDGsとまちづくり」「森林破壊ゼロとESG投資」ごとに分科会を用意し、議論を行いました。230名をも超える参加者から「生物多様性保全に向けて企業が果たすべき役割について考える貴重な機会」として高い評価を受けました。

ABINC(エイビンク)認証事業支援

三井住友海上が会長企業であるJBIB(企業と生物多様性イニシアティブ)策定の「いきもの共生事業所推進ガイドライン」にもとづき、企業の事業所や工場の緑地の量・質、管理や環境活動など、生物多様性に関する取り組みを評価・認証する機関として、2013年にABINC(エイビンク)が設立されました。その認証事業において2017年度までに67施設が認証されています。MS&ADインターリスク総研はその事務局として、認証事業および普及活動に貢献しています。

生態系の防災・減災および多面的な利用に関する研究への参画

総合的な地球環境の研究をおこなう文部科学 省大学共同利用機関「総合地球環境学研究所」の研究プロジェクトの一つとして2018年度からフルリサーチが開始された「人口減少時代における気候変動適応としての生態系を活用した防災減災(Eco-DRR)の評価と社会実装」に参画しています。洪水・土砂災害・高潮などが、気候変動にともない増加しており、地域社会の安心安全には、こうした災害への備えは喫緊の課題です。一方で、多くの地域社会で人口減少が進行しています。当研究では、生態系がもつ多様な機能を活用する防災減災の手法(Eco-DRR)に注目し、人口減少で土地利用の見直しが可能になる機会をとらえ、豊かな自然の恵みと防災減災が両立する地域社会の実現に向けて研究を行っています。

スマ保「動物注意アラート機能」による生物多様性保全

アラートのイメージ
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アラートのイメージ

三井住友海上では、MS&ADインターリスク総研と協力して、野生動物との交通事故多発エリアに接近すると音声で注意を促すサービスを行っています。これは、交通事故死、いわゆるロードキルが希少生物の減少要因のひとつであり、地域の方々や環境省でも効果的な対策に課題を持たれていたことから開発したものです。大型哺乳動物との接触は甚大な自動車事故の損害につながる可能性もあり、本サービスはドライバーの安全にも寄与することになります。沖縄県(ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ)、鹿児島県(アマミノクロウサギ)、長崎県(ツシマヤマネコ)のほか、シカ等の中大型哺乳動物にも対象を広げ、5地域6動物を対象にサービス提供を行っています。今後も、対象動物および対象地域を順次拡大し、全国各地でサービスを展開していきます。

「MS&ADラムサールサポーターズ」

東京港野鳥公園<br/>ラムサールサポーターズ活動
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東京港野鳥公園
ラムサールサポーターズ活動

MS&ADインシュアランス グループでは、ラムサール条約に登録されている湿地を中心とした水辺の環境保全活動「MS&ADラムサールサポーターズ~いのち・つなげる・水辺から~」を推進しています。2010年度から始まった取り組みは、現在全国11ヵ所の湿地で約1800名のグループ社員と家族が参加する活動に広がり、また部支店単位でも活発に活動しています。2015年度からは、条約で謳う「賢明な利用」を体現する取り組みとして、生きものにやさしい「ふゆみずたんぼ」での稲作を栃木県小山市で始めています。お米をつくる面白さと生きものにふれ合う楽しさを体験する活動に社員とその家族が参加しました。

森林の再生と持続可能な地域社会形成の支援(インドネシア)

三井住友海上では、インドネシア・ジャワ島のジョグジャカルタ特別州において熱帯林再生プロジェクトを推進しています。1990年代後半の経済危機時に地元住民の不法伐採により劣化した野生動物保護林の修復と再生を期すため、2005年よりインドネシア政府と連携し、約30万本の植樹を行ってきました。さらに地元住民の経済的自立を目的とした農業技術指導や小学校教師への環境教育を行い、森林の再生と持続可能な地域社会の形成に向けて取り組んでおり、インドネシア政府からも高い評価を得ています。2016年4月からは第Ⅲ期プロジェクトを開始し、周辺地域住民への植林・育林指導を行うなど、地域経済の活性化と保護林の保全に努めています。同年10月には第Ⅱ期完了式典がジョグジャカルタ特別州知事、インドネシア金融サービス庁や在インドネシア日本国大使館から来賓を迎えジョグジャカルタで開催されました。また、2014年度から開始した社員向けツアーは、2017年度で4回目となり、再生した森林の視察や当社現地法人が継続的に支援している地元の小学校との交流を行うことで、会社の社会的貢献取り組みに対する理解を深めています。

農業技術指導の様子
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農業技術指導の様子
教育プログラムの様子
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教育プログラムの様子

生物多様性と防災に配慮したグリーンレジリエンスな駿河台緑地

三井住友海上の駿河台ビル緑地は、2017年、公益財団法人都市緑化機構が運営する「社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES)」で最高ランクとなる「緑の殿堂」に都心のビル緑地として初めて認定されました。駿河台ビルと駿河台新館が一体となり、緑の拠点として皇居と上野公園をつなぐ「エコロジカル・ネットワーク」を形成し、都会における野鳥の生息域拡大に努めています。

 

これらの生物多様性に配慮した緑化や取組みが評価され、2017年9月に全国の範となる緑地を表彰する「第5回みどりの社会貢献賞」(主催:公益財団法人 都市緑化機構)を受賞しました。

また、樹木の階層構造を備えた緑地は蓄雨効果にも優れており、都市水害の減災効果があります。計算上は屋上庭園だけでおよそ750トンの雨水を貯めることができ、これは100mm/時の豪雨3時間分に相当します。駿河台ビルの地下には3500トンの雨水貯留槽があり、緑地の蓄雨効果と合わせ、減災機能を果たしています。今後も気候変動の緩和と適応に貢献し、レジリエントなまちづくりにもつながる緑地の運営を続けています。

SEGES<br/>緑の殿堂<br/>認定ラベル
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SEGES
緑の殿堂
認定ラベル

湿地の生物多様性に関する出張授業

授業の様子
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授業の様子

MS&ADインシュアランス グループでは、環境教育を推進するため、2014年に、6編の動画教材とQ&Aからなる環境教育プログラムを作成し、出張授業を開始しました。子どもたち一人ひとりに配布する副教材の下敷き・ハンドブックや渡り鳥の実寸大のぬいぐるみなどを用意し、体験して楽しめる学習の工夫を取り入れています。2017年度は出張授業に277名の小中学生らが参加しました。今後も、ラムサール条約で謳われている湿地の生物多様性保全に関する啓発活動(CEPA:Community Education Public Awareness)に取り組んでいきます。

「ECOM駿河台」からの情報発信

多くの来場があった展示<br/>「神田学生街の記憶 五大法律学校の軌跡」
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多くの来場があった展示
「神田学生街の記憶 五大法律学校の軌跡」

2012年5月にオープンした「ECOM駿河台」は、環境や自然に関するさまざまな情報を発信する環境コミュニケーションスペースです。吉野のヒノキのムク材を壁面に使うなど、木にこだわった内装と家具に囲まれながら、目の前に広がる緑地を楽しむ空間となっています。周辺の緑地や近隣に関する情報の発信をベースに、月ごとに自然や生きもの等に関連する写真展やイベントを行っています。また、駿河台緑地を研究フィールドに、都市における生物多様性や緑地によるヒートアイランド現象の緩和効果等を調査する大学の研究もサポートするなど、大学との連携に積極的に取り組んでいます。