私たちの暮らしや経済活動は、自然の恵みによって成り立っています。そして自然の恵みは、自然資本というストックに支えられています。MS&ADインシュアランス グループがめざす「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループ」の「レジリエントでサステナブルな社会」は、健全な地球環境の土台があって初めて実現するものであり、自然資本の持続可能性を考慮したビジネスモデルは、企業を含む社会全体の持続可能性を支えます。
2021年6月に発足したTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)は、情報開示の枠組みを構築し世界の資金の流れが自然にとってポジティブな結果をもたらすよう誘導することを目的に設置されました。企業を中心に自然関連リスクや機会への関心が高まっており、当社は理解促進や枠組開発等に取り組んでいます。当社グループは自然資本の持続可能性向上に役立つソリューションや商品の提供を通じ、自然資本と事業活動との持続可能な関係を構築し、地球環境との共生に貢献していきます。
リスクを見つけ伝える |
リスクの発現を防ぐ |
リスクが現実となった時の |
---|
自然資本のき損や劣化等に起因するリスクの評価 (分析例) ・水を大量に使用する事業が、将来的に受ける各拠点の水枯渇のリスク ・天然資源を主とするサプライチェーンの持続可能性の評価 |
評価・分析結果をもとにしたリスクマネジメント策の提案や、事故防止のためのサービスの提供 (提案例) ・地域の生態系に配慮した土地利用のコンサルティング ・ロードキル防止のためのスマートフォン向けアラート機能提供 |
必要なリスク補償の提供 (補償例) ・自然環境の損害に対する回復活動に支出した費用 ・使用していた材料の持続可能性を担保する認証が取り消された際の回収や謝罪に要する費用 |

当社はTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)の目的に賛同し、TNFDの理解促進や枠組開発等に取り組んでいます。
当社グループでは、お客さまが事業を展開する国内外の拠点やプロジェクト開発における自然資本への影響を定量評価するさまざまなサービスや、自然へのき損により発生する経済的損害を補償する商品を提供しています。
![]() 生物多様性リスクの簡易評価 |
国内外にあるお客さまの拠点周辺の生物多様性上の重要地域や絶滅危惧種等の情報を分析します。 |
---|
![]() 水リスクの簡易評価 |
気候変動、途上国の人口増、経済の発展などにより水資源が枯渇する地域が世界的に増えています。企業の操業まで脅かす事例もあり、企業は自らの水リスクを把握し、開示することが求められるようになってきています。企業の国内外の拠点について水リスク(枯渇、汚染、洪水・干ばつなど)を評価するサービスを提供しています。 |
---|
![]() 環境サプライチェーン |
持続可能な原材料調達網を確立することは、持続可能な事業活動を実現するための重要な経営課題です。業種に合わせた原材料調達における環境リスク分析を行い、対応の優先順位を選定し、サプライチェーンマネジメントの策定を支援します。 |
---|
![]() 生物多様性土地利用 |
生物多様性保全の取組みを経営上のリスク・チャンスとしてとらえ、事業の土地利用において生物多様性に配慮した取組みを始める企業が増えています。事業所やマンション等、緑地を備える土地の利用方法について、調査・分析からそれに基づく整備・活動計画の策定まで、総合的な支援を行っています。 |
---|
![]() プラスチックの資源循環に取り組む企業向け保険料割引の提供 |
プラスチックの資源循環の促進を支援するため、プラスチックの資源循環に取り組む企業を対象に、一部の賠償責任保険について保険料の割引を提供しています。
|
---|
![]() ロードキルの削減支援 |
イリオモテヤマネコといった希少種の死亡原因として上位にあげられる自動車事故(ロードキル)を防ぐため、自動車保険の専用ドライブレコーダーにアラート機能を搭載しています。また2022年度から自動車保険の専用ドライブレコーダーの販売実績に応じ、希少動物保護やロードキル削減に取り組む団体等に寄付を行います。
自然資本・生物多様性の保全・回復に資する商品・サービスの展開について(MS) 自然資本や生物多様性の保全・回復に貢献する当社商品・サービスの拡充について(AD)
|
---|
![]() 海洋汚染対応追加費用を補償 |
船舶事故により自然環境に損害が発生した際に、従来の保険では補償対象外であった船舶運航者が自主的に行う自然環境への損害に対する保全・回復活動等の費用を補償します。
|
---|
![]() 汚染損害に関わる費用を 幅広く補償 |
汚染物質が工場等の施設から公共水域へ不測かつ突発的に流出したこと等に起因する損害賠償責任や、汚染の浄化費用等を幅広く補償します。
|
---|
![]() 再造林等の費用を補償 |
従来の森林火災保険では補償対象外であった、火災等によって罹災した森林を再造林するために要した費用を補償します。
|
---|
![]() 食品事業者向け 生産物回収費用保険「食eco」 |
社会貢献型フードシェアリングプラットフォームを運営する、株式会社クラダシと提携し、食品事業者向け生産物回収費用保険を提供しています。 |
---|
当社グループは、「MS&ADインシュアランス グループ 環境基本方針」において主要課題の一つに「生物多様性の保全」を掲げ、さまざまなイニシアティブに参画するなど、取組みを推進しています。
![]() 自然資本ファイナンス・アライアンス(旧自然資本宣言) |
2016年7月に、金融機関が「自然資本」という考え方を金融商品やサービスの中に取り入れていくことを宣言した自然資本宣言(Natural Capital Declaration)の趣旨に賛同し、本宣言に署名しました。自然資本宣言は「自然資本ファイナンス・アライアンス(Natural Capital Finance Alliance)」へ、組織を発展的に改組しています。 ![]() |
---|
![]() Business for Natureの |
野心的な自然環境政策を採用することを政府に求めるBusiness for NatureのCall to Actionに賛同しています。 |
---|
![]() 30by30アライアンス |
2030年までに世界の陸地と海洋の30%以上を保護・保全地域とする国際目標である「30by30」実現に貢献するため、環境省が運営する「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加しています。当社はグループ保有緑地の保全を進め、目標実現への貢献をめざします。 |
---|
![]() (一社)いきもの共生事業推進協議会(ABINC) |
企業緑地の認証(ABINC認証)等、いきもの共生社会に向けた事業の推進を目的に設立しました。MS&ADインターリスク総研が事務局を務めています。 |
---|
![]() 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB) |
企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)は、生物多様性の保全と生物資源の持続的な利用について共同研究する企業の集まりです。2007年に開催した「企業が語るいきものがたり」のシンポジウムに参加した企業を中心に、ビジネスにおける生物多様性保全の取組推進に向け学び合い、行動することを目的に発足しました。MS&ADグループは2008年4月の設立以来、会長会社として活動しています。 ![]() |
---|
![]() 「総合地球環境学研究所」の |
総合的な地球環境の研究を行う文部科学省大学共同利用機関「総合地球環境学研究所」の研究プロジェクトである「人口減少時代における気候変動適応としての生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の評価と社会実装」に参画しています。 |
---|
![]() 地方創生と地域防災 |
地域の自然に根差した地方創生と地域防災に関する事業に取り組んでいます。
|
---|

当社は「企業が語るいきものがたり」シンポジウムを毎年開催しています。本シンポジウムは企業の生物多様性の取組みに関する情報提供の機会として、2007年に開始し、2023年2月に16回目を開催しました。「生物多様性民間参画ガイドライン」等に取り上げられ、高く評価されています。

国際NGOのコンサベーション・インターナショナル・アジアパシフィック (CIAP) と連携し、東南アジアの生物多様性保全活動を推進しています。アジア6つの中核市場(香港、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム)と2つの太平洋諸国(フィジー、ニューカレドニア)において、現地パートナーとも協力しながら、森林再生、マングローブ植林、希少な野生動物の保護、保護地域の監視などに取り組んでいます。
Protecting Biodiversity(MSIG-Asia)

- 拡大
- 農業協同組合による育苗の様子
2005年度よりインドネシア政府と連携し、ジャワ島のジョグジャカルタ特別州において野生動物保護林の修復・熱帯林再生プロジェクトを17年にわたり推進しています。植樹により劣化した森林を再生させ、持続可能な地域社会の形成に向け、保護林の維持管理を行うと同時に周辺住民に植林や育林の技術指導を行って住民協働型植林を展開していくなど、地域経済の活性化にも努めています。

ペーパーレス保険証券・Web約款の寄付取組として、北海道美幌(びほろ)町において、植林活動「あいおいニッセイ同和損保の森」を2019年8月にスタートしました。
樹齢50年をむかえ伐採のタイミングとなった針葉樹(主にトドマツ)に代えて広葉樹への植え替えを行い、生物多様性に配慮した森づくりを支援しています。
当社グループ内において、環境保全活動や社員に対する普及啓発に積極的に取り組んでいます。

三井住友海上の駿河台ビル・駿河台新館周辺の緑地(駿河台緑地)は、生物多様性に配慮した企業緑地として高い評価を得ています。環境省が2023年から制度の開始を予定している「自然共生サイト認定」に係る実証事業において、同緑地は屋上緑化のモデル的取組みとして「認定に相当」との評価を得ました。
敷地内には、地域に開かれた施設「ECOM駿河台」があり、環境に関する情報発信やイベントの開催等を行っています。

海洋汚染が深刻になる中、プラスチック利用の削減、また社員への海洋プラスチック問題の啓発を目的に、三井住友海上では2018年8月より社員食堂でのプラスチックカップ、ストローの利用を廃止しました。またあいおいニッセイ同和損保では2019年7月には、水栓直結式のウォータースタンドを設置し、マイボトルの利用促進を始めました。
更に2020年7月には勤務中のプラスチック使用を減らすよう、レジ袋に代わるオリジナルのマイバッグや個人所有の飲料ボトルに添付してマイボトル利用を呼び掛けるシールを作成し、グループ社員に配布するなど、グループを挙げてプラスチック使用を削減する取組みに力を入れています。

当社グループでは、2010年度よりパンフレット等の印刷物やコピー用紙について、森林認証紙への切替えを推進しています。適切に管理された森林の木材から作られる紙を使用することで、森林保護を通じた生物多様性の保全に貢献します。
(※)持続可能な森林利用や環境保全を目的に、適切に管理された森林からの木材を原料として製造された用紙

2019年10月より駿河台ビル、2020年8月より千葉ニュータウンセンターの社員食堂において、毎月「サステナブル・シーフードデー」を設け、食堂利用者にサステナブル・シーフード※(持続可能な水産物)を使ったメニューを提供しています。社員自らが「食する」ことで、サステナビリティ取組を実感するとともに、自ら消費行動を変革することで、持続可能な社会の実現にも貢献しています。
(※)持続可能な生産(漁獲・養殖)に加え、加工・流通・販売過程における管理やトレーサビリティの確保について認証を取得しているシーフードです。