黒田 かをり氏

 

一般財団法人CSOネットワーク 事務局長・理事(2011.8 – 現在)

 

  • 特定非営利活動法人 The Asia Foundation ジャパン・ディレクター(2010.4 – 現在)
  • ISO26000 国内委員会委員、国際作業部会NGOエクスパート(2007 – 2010)

柄澤代表取締役社長がトップメッセージで述べられているように、多発する自然災害、世界の政治状況の大きな変化、国内外で山積する社会課題などにより、社会や経済において不確実性や不透明感が増しています。こういった時代に、企業には外部環境の変化への迅速な対応力と課題解決力が求められていますが、とりわけ保険会社が果たす役割は拡大しています。このような内外の情勢を念頭に、昨年に引き続き、MS&ADインシュアランス グループ(以下MS&AD)のCSRの取り組みに対して、CSRレポート2017の記載事項をベースに意見を述べます。

重点課題の見直し

MS&ADは、持続可能な開発目標(SDGs)などグローバル環境の変化を踏まえて重点課題の見直しを実施、取り組みの柱II「事業を通じた社会的課題解決への貢献」においては、①事故防止、防災・減災、②気候変動への対応、③高齢社会への対応、④地域社会の発展の4つに再整理しました。これらの領域では、リスクが発現しないよう予防策を提供するMS&ADの総合的なビジネスモデルを通じて、事業とCSR取組との関連性が伝わる形で報告されています。冒頭のトップメッセージからも、これらについて、MS&ADのCSRに対する姿勢が明確に打ち出されています。
これら4つの領域はどれも、地球規模課題としても重要性の高いものですので、個別のニーズや課題を先取りして取り組みを強化し、事業との関連性を含め、国内外に発信していくことを期待したいと思います。昨年も書きましたが、このような商品やサービスが社会課題解決にどのようなインパクトをもたらしているかを測定するアウトカム指標も充実させていただきたいと思います。

イニシアチブへの参画と社会評価

MS&ADは、国連グローバルコンパクトへの参画、持続可能な保険原則への署名、CDPへの参加、「責任ある機関投資家」の諸原則への受け入れ表明など、さまざまなイニシアチブに参画をしてきました。さらに、2016年7月に、21世紀に向けて金融機関が「自然資本」という考え方を金融商品やサービスに取り入れることを宣言した「自然資本宣言」に署名をしたことを大いに評価したいと思います。このような社会的責任の側面からの社会評価も高まっており、MS&ADは代表的な複数のSRIインデックスの構成銘柄に組み入れられています。

人権尊重への取り組み

2016年、MS&ADは人権基本方針を立て、それをベースに人権デューデリジェンスの実施に着手しました。プライバシー権利の侵害は、新しい人権イシューとして注目を浴びていますが、人権方針の「グローバルな保険・金融サービス事業者としての責任」の中に、しっかりと書き込まれています。人権デューデリジェンスに関しても「評価・防止」「救済・是正・対話」「教育・研修」と充実した内容になっています。昨年の第三者意見に「人権尊重をさらに進めていくことを期待」と書かせていただきましたが、MS&ADが着実に進めていることを評価したいと思います。人権尊重は、これまでコストと捉えられることが多かったのですが、最近では企業の利益に直結するという考え方もだいぶ出てきています。人権尊重に関してもMS&ADのますますの取り組みに期待したいと思います。

 CSRレポート 第三者意見を受けて

 

『MS&ADインシュアランス グループ CSRレポート2017』へ貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。

 

中期経営計画「Next Challenge 2017」の2年目を迎えた2016年度は、地球環境や国際社会を巡る前年からの大きな変化を受け、グループ基本戦略の一つ「社会的課題の解決」について取り組むべき課題を改めて整理しました。そして、ステークホルダーとの対話を大切にしながら、商品・サービスの品質向上を通じて社会からの信頼を得ること、4つの社会的課題(①事故防止、防災・減災、②気候変動への対応、③高齢社会への対応、④地域社会の発展)の解決に貢献することを重点課題として再認識し、取り組みを進めました。

 

これら4つの社会的課題は、気候変動の影響により多発する自然災害や、技術の進展にともない新たに発生するリスクの出現等、いずれも社会からも解決が強く望まれ、かつMS&ADインシュアランス グループの事業とも深いつながりがあるため、ステークホルダーの信頼を得るに足る高い品質の商品・サービスを提供することで、4つの社会的課題の解決に貢献することに力を注ぎました。


これらの商品・サービスが社会的課題に対して与えたインパクトを示す定量指標につきましては、今年度の開示はご指摘のとおり十分ではございませんが、取り組みの深化のみならず指標の充実と開示に、今後も務めてまいります。

 

評価いただきました2016年7月の「自然資本宣言」への署名は、自然資本が、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」すべての目標達成のベースであるとの認識のもと行いました。この領域については特に自然資本や気候システムの安定に関わる4つのSDGs達成に向けて、自然資本の保全と持続可能な活用につながる地球環境と事業活動の両立の支援を引き続き目指していきます。



また2017年2月に策定した「グループ人権基本方針」を踏まえ、今回定めた重点課題を中心に人権尊重をさらに進め、企業としての社会的責任を果たしていく所存でございます。

 

今後も「グローバルな保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支えます」という経営理念にもとづいて、あらゆる事業活動において環境や社会との相互影響を考慮し行動することを通じて、企業価値の向上を図るとともに、持続可能でしなやかな社会づくりに貢献してまいります。

 

MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社

総合企画部長 白井 祐介