気候変動への対応

気候変動の進展により世界的に自然災害が増加・大型化し、これまでに経験したことのない巨大な災害が発生する可能性が高まっています。こうした大災害の発生は言うに及ばず、緩やかに進む気象の変化でさえも、事業活動や日々の生活を不安定化させ、物理的にも経済的にも損失をもたらします。気候変動による自然災害は地球全体が共有する巨大リスクであり、そこに密接に関わる保険にとっては、支払保険金の増大によるグローバルな保険システムの劣化も懸念されます。
気候変動を止めることはできませんが、こうしたリスクの増大に備えて対策を講じていかなければなりません。MS&ADインシュアランス グループは、大規模災害の損失にかかる再保険をはじめ十分な備えで社会に安心安全を提供してまいります。また、気候変動による気象災害がお客さまにもたらす被害や損失をなくす、または軽減するための適切なサービスを提供することで気候変動への適応を進めると同時に、保険やコンサルティングによって気候変動の緩和につながるニュービジネスを支えてまいります。


2016年度の主な実績

MS&ADの事業

自然災害の防止に向けたリスクマネジメント

地球温暖化にともなう気候変動の影響により世界的に自然災害が頻発するようになっており、その被害が甚大化しています。MS&ADインシュアランス グループでは、インターリスク総研で開発した自然災害リスクモデル等を活用し、詳細なリスク分析や調査にもとづいたリスク低減のための対策提案を行っています。

洪水被害を予測する新リスク評価システム

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、2017年5月に、株式会社インターリスク総研および米国の大手自然災害リスク評価専門会社と協働で、洪水による被害を予測する新リスク評価システム(以下、新洪水モデル)を開発しました。新洪水モデルでは、台風による洪水被害だけでなく、台風以外の梅雨前線や集中豪雨などによる洪水被害も予測できます。また、河川の氾濫による洪水被害に加えて、雨が排水されずに地表にあふれる都市型の洪水被害の予測や、台風による風災と水災(洪水・高潮)の被害を統合した予測も可能です。MS&ADインシュアランス グループは、今後も、被害予測モデルの活用を通じて、自然災害分野におけるリスク管理の高度化とコンサルティングサービスの強化を図ります。

水災対策コンサルティングサービス

MS&ADインシュアランス グループのインターリスク総研は、水災対策サポートサービスを提供しています。河川氾濫・内水氾濫・高潮を対象に、ハザードマップ等の公的資料や現地調査を踏まえた浸水シミュレーションを行い、想定される浸水深度や時間、損害の程度を分析します。さらに分析結果に基づいたソフト・ハード両面の対策提案を行うことにより企業の水害リスク低減とBCM(事業継続マネジメント)策定・向上を支援します。

分析結果のサンプル


自然資本の保全および活用に向けたリスクマネジメント

わたしたちの暮らしや経済活動は、生物多様性から提供される自然の恵み(生態系サービス)によって成り立っています。生物多様性に配慮したビジネスモデルは、企業を含む社会全体の持続可能性を支えます。2015年9月の「持続可能な開発サミット」で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」17の目標は、自然資本や安定した気候システムに関わる4つの目標がベースとして成立して初めて達成する目標と言えます。MS&ADインシュアランス グループは、自然資本と事業活動との持続可能な関係構築を目指し、その保全や活用に向けて取り組んでいきます。

特にグローバルに展開する日本企業を中心として、自然資本への事業活動の影響等について、積極的に情報開示を行うことが社会的に求められています。予定している事業活動が、自然資本に大きな損失を与える可能性がある場合、当該事業に大きなリスクを抱えることになります。このような企業に対して、インターリスク総研では自然資本に与える影響を定量的に評価するサービスを提供しています。

水リスク簡易評価サービスの提供

気候変動、途上国の人口増、発展等により水資源が枯渇する地域が世界的に増えており、企業の操業まで脅かす事例もあります。それを背景に、企業が自らの水リスクを把握し、開示するよう要求する社会的圧力が強まっています。日本企業でも大手メーカーが自社のサプライヤーに水リスクの把握と開示を求めたり、投資家が水リスク情報の開示を求めるなどの動きが広まっています。インターリスク総研では、企業の国内外の拠点について水リスク(水枯渇、水災その他)を評価するサービスを行っています。

生物多様性総合コンサルティングサービスの提供

生物多様性は近年、新たに注目されている環境テーマです。例えば、原材料の調達を通じて生物多様性に悪影響を与えているとして、特定の企業が社会的非難を浴びるなど、経営上の問題に発展するケースもあり、大企業を中心に、リスクマネジメントの取り組みを始める企業が増えています。インターリスク総研では、企業活動における生物多様性に関する総合的なコンサルティングを行っています。また、企業緑地のコンサルティングを通じて生物多様性に配慮した都市の緑地を広げる支援も行っています。

生物多様性の保全

環境効率の向上・持続可能な資源の利用を支援

さまざまなビジネスにおける持続可能な資源の利用または環境効率の向上は、地球環境の持続可能性を高めるとともに、その企業における持続可能な成長も可能にします。MS&ADインシュアランス グループは、企業の環境効率の向上や持続可能な資源の利用の支援を通じて、地球環境とお客さまの成長に貢献します。

環境CSR支援コンサルティングサービス

インターリスク総研では、ISO14001で求められている環境CSR経営における「脅威と機会」「バリューチェーン」「生物多様性」への対応策として、環境マネジメントシステム(ISO14001 、エコアクション21)の認証取得・改善、環境リスク分析、環境CSR報告書作成支援など、環境CSRに関するコンサルティングを行っています。

風力発電施設のリスク調査報告書作成サービスを開始

三井住友海上とインターリスク総研は、「風力発電設備のリスク調査報告書作成サービス」を提供しています。本サービスは、風力発電事業者のお客さまを対象に、立地や設備等の各種条件にもとづいて事業全般に関わるリスクを総合的に評価し、報告書として提供するものです。風力発電は他の再生可能エネルギーと比較して発電コストが低く、経済性を確保できるエネルギー源である一方、立地や設備設計、メンテナンスの状況等によっては稼働率が低下したり、事故が発生する恐れがあることから、これらのリスクへの対策を促すとともに、お客さまの安定的な事業運営を支援することを目的としています。

三井住友海上火災とインターリスク総研は 、「洋上風力発電設備 事故・故障リスクに関するハンドブック」を発行しています。再生可能エネルギーの発展に寄与するとされる洋上風力発電について、その事故・故障リスクを適切に把握するための情報提供を目的としています。洋上風力発電は、陸上風力発電に比べて利用可能な風力エネルギーが豊富で、立地の制約が少なく大規模化できるなどのメリットがあり、国土が海に囲まれた日本では有力な再生可能エネルギー源として期待されています。

「太陽光発電事業 事故リスクハンドブック」を発行

三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、インターリスク総研は、太陽光発電事業の安定的な運営を支援するために、3社による共同開発ツール「太陽光発電事業 事故リスクハンドブック」を発行しています。太陽光発電事業はここ数年で急激に拡大しましたが、それに伴って、自然災害等による事故リスクも顕在化しています。本ハンドブックを通じて、こうした事故リスクを適切に評価するための情報を提供しています。

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リスクの発現を防ぐ、リスクの影響を小さくする

気象情報アラートサービス

気象情報アラートサービストップ画面

【気象情報アラートサービストップ画面】

三井住友海上は、株式会社ウェザーニューズと提携し、工事保険(建築オールイン、土木オールイン)と企業向け火災保険(プロパティ・マスター、ビジネスキーパー)または運送保険(フルライン、サポートワン)をご契約のお客さまを対象に、損保業界初となる「気象情報アラートサービス」を提供しています。
本サービスは、お客さまが専用サイト上で設定した監視地点(最大5地点)において、「降水量」、「風速」および「降雪量」の予報が基準値(※)を超える場合や、監視地点から基準値(※)以内の地点で「落雷」を観測した場合に、アラートメールを配信するものです。

(※)お客さまが「注意」、「警戒」の2段階であらかじめ設定。なお、「落雷」については監視地点から落雷地点までの距離。
気象情報の提供を通じて自然災害による被害の防止・軽減に寄与し、企業のお客さまの事業活動を支援していきます。


ClimateWiseメンバーとして気候変動に配慮した業務遂行の実施(UK)

MS Amlinでは、ClimateWiseへ参画しています。ClimateWiseは保険業界とケンブリッジ大学および各研究機関が立ち上げた組織であり、自然災害リスクに関する保険業界の専門的な知識・経験を気候変動問題へ活かす取り組みを行っています。当社は、リスクマネジメントの専門家による自然災害リスク分析を通じた気候変動パターンおよび各国・地域における被害を研究するワークショップへの参画、国際会議へのパネリストとしての参加・提言等を通じて、同組織の活動を支援しています。

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気候変動への適応を支援する商品・サービスの提供

気候変動による異常気象は、企業等の活動にさまざまな被害や損失を与えますが、その被害や損失を軽減する方策の提供により、気候変動下におけるビジネスの持続可能な発展を支援することができます。気候変動の進行が避けられない今、気候変動への適応策がビジネス成功への大きなカギとなります。

天候デリバティブ

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保では、天候不順によって生じるお客さまの財務上の損失を軽減するために、天候デリバティブを販売しています。例年を上回る(あるいは下回る)降雨、猛暑・冷夏、厳冬・暖冬などによる売上減少や費用増大、太陽光発電などの再生可能エネルギー事業における日照不足による発電不足を、天候デリバティブの引き受けを通じてサポートしています。
また、三井住友海上では海外において、米国子会社MSI Guaranteed Weatherを通じて北米・欧州を中心に天候デリバティブを販売していますが、2016年12月より、国内損保グループとして初めて、NASA等の衛星観測データを活用した「天候デリバティブ」の世界販売を開始しました。これにより、精緻な地上観測データが取得できないなどの理由から、従来は引き受けが困難であった地域においても、天候デリバティブの提供が可能になりました。アジア・南米・オセアニアなどを含む全世界において天候デリバティブを積極的に販売し、お客さまの海外進出および現地の経済活動を支援していきます。

フード&アグリビジネス総合補償プラン

農業分野や畜産分野においては、日照不足、異常低温、異常高温、降水量不足などの天候不順が、原材料となる農作物の不作や畜産物の生産量減少を招き、その結果、市場価格が高騰するといった、天候不順リスクがあります。
三井住友海上が販売している「フード&アグリビジネス総合補償プラン」はこの天候不順リスクに対応し、対象となる農作物や畜産物の収穫高・生産高に影響を与える天候指標にもとづく天候デリバティブ商品を提供しています。

港湾における水害軽減を支援

案内資料のサンプル

気候変動により、台風や高潮などの水害も今までの想定を大きく超える被害が発生しています。たとえば、港湾地区に保管されている輸出直前の完成車両では、大型台風の接近と高潮が重なれば大きな損失にもつながりかねません。一方、事前に適切な対策を実施することにより、被害を軽減することができます。
三井住友海上では、事前に台風進路の予想や高潮の時間をお客さまに詳細に案内し、車両の移動や防水カバーの設置などの対策をご提案し、お客さまの被害の軽減の支援に努めています。


三井住友海上は、日本政府と世界銀行が協力して設立した「太平洋自然災害リスク評価及び資金援助イニシアチブ(PCRAFI)保険ファシリティ」において、自然災害リスクの引受保険会社の1社を務めています。本ファシリティは保険市場が十分に発達していない太平洋島嶼(とうしょ)国(サモア、トンガ、マーシャル諸島、バヌアツ、クック諸島)で一定規模の自然災害(サイクロンおよび地震・津波)が発生した場合に、被災した国・地域へ迅速に復興資金を提供することを目的としたものです。三井住友海上は、本ファシリティへの参画を通じて、太平洋地域における自然災害に対する取り組みを支援し、同地域への社会的貢献を果たしていきます。

【本制度のスキーム】
世界銀行グループの国際開発協会(International Development Association)とのデリバティブ取引を通して、太平洋島嶼国に一定規模の自然災害が発生した場合に復興資金を提供します。

本制度のスキーム

Flood Reへの参画による洪水再保険制度への支援

MS Amlinは、2017年2月より、イギリス政府とイギリス保険協会(Assosiation of British Insurers, ABI)が設立した洪水再保険制度「Flood Re」に参画しています。Flood Reは個人向け洪水保険の再保険基金で、保険業界によって運営および管理されています。洪水リスクの高い世帯に洪水による災害への備えを広く提供する支援を行っています。

気候変動の緩和につながる商品・サービスの提供

深刻化する気候変動の問題解決に向けた新しいビジネスが数多く生まれています。保険やコンサルティングの提供を通じて、こうしたビジネスの成長を積極的にサポートすることにより、経済の活性化と気候変動の緩和に貢献します。また、環境負荷の削減につながる商品の開発・提供にも取り組んでいます。

再生可能エネルギー事業を支援する商品

再生可能エネルギー事業者を取り巻くさまざまなリスク(財物損害、利益損失、賠償責任等)について総合的に補償する各種保険商品を販売すると同時に、リスク評価・コンサルニーズに対応した各種サービス・情報提供により、再生可能エネルギーの普及を側面から支援しています。

太陽光発電 ・メガソーラー総合補償プラン
・太陽光発電事業 事故リスクハンドブック、メガソーラー施設 地震・津波リスク分析・日照評価、メガソーラー施設 ハザード情報調査、太陽光発電 総合リスクマネジメント
風力発電 ・小形風力発電総合補償プラン
・風力発電設備 事故リスク評価のためのハンドブック、風力発電施設のリスク調査報告書作成サービス、小形風力発電設備に関するハンドブック、風力発電 総合リスクマネジメント
バイオマス発電 ・バイオマス発電総合補償プラン
・バイオマス発電設備に関するハンドブック
中小水力発電 ・中小水力発電総合補償プラン
・中小水力発電 総合リスクマネジメント

環境に配慮した自動車保険

MS&ADインシュアランス グループでは、主力商品である自動車保険において、環境負荷削減につながる商品を開発・提供するなど、持続可能な地球環境の実現に取り組んでいます。

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ラムサールサポーターズ~いのち・つなげる・水辺から~

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